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第17話

「別に平気だよ。予算内だし」 「え、ダメだよ!てか、全部払ってもらうのも悪いし!」 「大丈夫大丈夫。律のお母さんが払ってくれてるから。律の為に使ってって入学金くれてるよ」 「え、そうなの!?」 そんなの一言も聞いてない!てっきり仕事が忙しくて僕の事なんて忘れていると思っていたけど、覚えてたんだな。 最近連絡もきちんと取れてないし、メールを送っても返信くるの2日後とかだし……。 生活に必要なお金は振り込んでくれているけれど、入学金なんて本当に知らなかった。 会えない母なりに祝福してくれているのだと分かり、嬉しくなる。今夜にでも連絡してみようかな。 机と収納ケースが決まり、これは後日配送してくれるみたいだ。 次は布団を見にベッドが置いているコーナーへ。すごい大きなサイズのベッドが並んでいて、こういうの憧れだなぁなんて思うけど、いつも寝ている朔夜さんのベッドもこの位の大きさだったような。家で見るのとお店で見るのではまた違って見えるんだろうな。 「ベッドがいい?」 「布団でいい。床に敷くやつ」 「そう? じゃああっちか」 ベッドより布団の方が慣れているので、これから使うのだったら布団の方が断然いい。それに布団は畳めるし、持ち運びも出来て結構便利だ。 「これいいじゃん。こっちもいいな」 「低反発?て何か分かんないけど、人気ナンバーワンだって」 「ナンバーワン買っとく?」 「んー、そうする」 低反発っていうのがよく分からないけど、迷った時は人気な物を買っとけば間違いない。普通の布団より柔らかいらしいが、僕は寝れれば何でもいいんだけど。 シングルサイズとダブルサイズがあって、朔夜さんがダブルサイズを買おうとしていたので慌てて止めた。僕一人で寝るのにダブルは大きすぎる。 布団が来たらもう朔夜さんと寝ることは無くなるだろうし……。 そっか、もう朔夜さんと一緒に寝られないんだ……。でも、これが普通なんだよね。高校生にもなって添い寝なんて子どもみたいな事……。朔夜さんも仕方なく一緒に寝てくれていたんだろう。 布団を車まで運んで、もう一度戻るらしい。朔夜さんが運んでくれるらしく、僕は待機中。 こんなに買い物したの初めてだ。しかも大好きな朔夜さんと一緒に。夢なら覚めないでほしい。ついニヤニヤしてしまい、口元をパーカーの袖で隠す。 一人ちょこんとベンチに座っていると、隣に今風?なお兄さんが座ってきた。 チャラい感じの、僕が苦手なタイプの男性。少し距離を取るように端に寄れば、男性も詰めて座ってくる。 え、何なの!?てか近くない!? 「君一人?暇なら俺と遊ばない?」 「え、無理です」 「なんで。誰かと一緒に来てるの?」 「まぁ、はい」 待って、無理なんですけど。なんで僕みたいな暗いのと一緒に遊ぼうと思ったんだろう。 朔夜さん早く戻ってこないかな。

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