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第21話
僕はテディベアを大切に可愛がった。
家に帰ってからもずっと一緒で、写真を撮って千花ちゃんに送ったりした。
千花ちゃんは返信がバカみたいに早くて、送った途端に既読がつく。暇なのかなぁ。
『え!可愛い!どうしたのそれ!?』
ふふふ、やっぱり可愛いんだ。これは誰が見ても可愛いと思うだろう。返信せずにテディベアを見つめていると、千花ちゃんから電話が掛かってきた。
慌てて出ると、千花ちゃんの高い声がスピーカー越しに聞こえる。あぁ、今日も元気だな。
『ねぇ!無視しないで!』
「無視なんかしてないよ。ちょっと返信遅れただけじゃん。面倒な彼女みたいになってるよ」
『ごめん、律とは付き合えない……。だって私たち、親友でしょ……!』
「なんで僕が振られたみたいになってんの?」
僕だって千花ちゃんとは付き合えない。あのテンションの高さに付いていける男性はすごいと思う。
それに僕には心に決めた人が居るからね。
「切るよ?」と言うと、『待って待って!』と止められた。何か用事があるのだろうか。
『あのテディベアどこで買ったの?超可愛いくて私も欲しいなーって!』
「うーん、貰ったから分かんない」
『そっかぁ……。てか誰に貰ったの?例の同居人の人?』
「……うん」
スマホ越しに『ホァァ……』と千花ちゃんの変な声が聞こえた。どうしたんだ、そんなこの世の終わりみたいな声出して。
『なんか、独占欲強いのかなって思って……!ぬいぐるみをプレゼントするって、見る度にその人の事思い出すじゃん!そう言う意味でくれたのかも!?』
「えー、そんな理由じゃないと思うよ」
朔夜さんは僕にそれほど執着している訳でもないし、むしろ淡白な方だと僕は思うけれど。そんな独占欲丸出しな訳ないし。
てか、朔夜さんが僕に独占欲ってナイナイ。脈なしだもん。
『やば、夕飯作るの頼まれてたんだった!もう切るね!また月曜日!』
「あ、うん。またね」
……千花ちゃんって料理できるんだ。以外。すごい豪快な料理してそうだな。なんて失礼な事を思っていた。
さて、僕も布団を敷いてみようじゃないか。どんな感じになるのか楽しみだ。
もともと物はダンボール3箱と学校に持っていく用のリュック位しかないため、片付けもせずに布団を敷くことができた。
「おぉ……!」
いいじゃん!部屋の半分が埋まったけれど、そんなの全く気にしない。今日からこれで寝るんだ!何だかドキドキする!
「律、夕飯できたよ。 おぉ、いい感じじゃん!一人で寝れそう?」
「寝れるよ!子どもじゃないんだから!」
「そうだね。これは失礼」
全く、朔夜さんはいつも僕を子ども扱いして!一人で寝れるに決まってるじゃん!テディベアも一緒なんだし!
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