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第24話

* ふわぁ~と大きな欠伸をする。今起きたばかりだと言うのに、眠くて眠くて仕方がない。 一人で寝るようになってから全く眠れなくなってしまい、心を落ち着かせる為にリラックスできるヒーリングミュージックを聞いてみたり、目を瞑って羊を数えてみたりしたが効果はあまりなかった。 「すごく眠そうだね。夜更かしでもしてるの?」 「いや……、なんか寝付きが悪くて……」 「慣れないからかな。また一緒にねる?」 「ううん、大丈夫」 せっかく布団まで買ってもらったのに申し訳ない。まだあの空間にも布団にも慣れてないだけだと思うし、慣れたらそのうち寝れるようになると思うんだけどな.......。 一昨日は、その……朔夜さんとキスしたせいで眠れなかったんだと思っていたのに、昨日も全く眠れなかったのだ。ちなみに昨日はキスしようとする朔夜さんを上手く交わしたのでキスはしていない。キスのせいじゃないのか……。一体いつになったら眠れるようになるんだろう。 ため息をついて、食べ終わった食器を片づけようと席を立つと朔夜さんが目の前にやってきた。 「寝癖ついてるよ。後で直しときな」 「え、本当?」 「うん。じゃあ先に行くね。行ってきます」 「行ってらっしゃい」 スーツを着て、髪をセットした朔夜さんはすごくかっこいい。こんなかっこいい人、好きにならないわけがない。 あー、本当にかっこいい。 そんな事を思っていると、ふにっと唇に柔らかいものが触れた。 いつの間にか目の前には朔夜さんの顔があって、それが離れていく。 睫毛長かった…… じゃなくて!! 「行ってきますのちゅー」 「は……!?」 「遅刻するなよ」 「あ、うん……!」 また、キスされた……。 ヘナヘナと床に座り込み、真っ赤な顔を手で覆う。 朝からキスとか、心臓持たないってー! なんで朔夜さんは僕にキスするんだろう……。ただの遊び心なのか、それとも僕が特別なのか。 ……特別、はないだろうな。 たぶん、遊び心だ。僕の反応をみて楽しんでいるんだ。朔夜さんはモテそうだし、キスだって沢山してきたはず。僕とキスするなんてペットの犬や猫と戯れる程度にしか思っていないのだろう。 きっとこんな風に女の子を落としてきたんだな。イケメン恐るべし。

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