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第29話

お昼ご飯を食べてからというもの、ものすごく眠くなってきた。ただでさえ午後は眠いというのに、2日間まともに寝ていないとなると眠さはピークに達した。 これはダメだ。瞼にテープでも貼らないと起きていられない。いや、テープを貼っても寝てしまうかもしれない。きっと瞼が引っ張られて痛いだろうけど、今は痛さより眠気の方が勝つ自信がある。 何とかして起きていられる方法はないだろうか……。頬杖をついて、考えてみる。窓際の席はポカポカして心地いい。 ふわぁ、と欠伸をして黒板を見る。 あれ、知らない間に結構進んでる。ノート取らなきゃやばい。 そう思いペンを取り、ノートに写していくが眠さで視界がぼやけて字はガタガタだし違う行に書いちゃったりして散々だった。 なんとか全ての授業を乗り切り、机に項垂れた。どうやって授業を乗り切ったのか正直あまり覚えていない。6限目なんて気づいたら終わっていた。もしかしたら寝ていたのかもしれない。 もうこんな事のないようにしっかり睡眠は取ろうと決めた。 「律、帰ろー!帰りどっか寄ってく?」 「無理、帰る……。眠過ぎて無理……」 「わ!目が真っ赤だよ!大丈夫!?」 「千花ちゃん、おんぶ……。運んで……」 「えぇ!?で、できるかな!?やってみる!」 自分一人の力では歩けないと思い、千花ちゃんに助けを求める。僕より背の低い千花ちゃんが僕をおんぶ出来るなんて思えないけれど、千花ちゃんはやってみる!と言って僕の前に屈んだ。 「さぁ来い!」 「いや、無理でしょ。冗談だよ」 「いや、律なら行ける気がする!軽そうだもん!」 「どっから来るのその自信」 僕の方が身長高いし重いのに、小柄な千花ちゃんが僕をおんぶ出来るわけないだろう。 だけど千花ちゃんはやる気満々で「ヘイ!乗れ!」と自分の背中を親指でクイクイと指す。 だけど流石に無理だ。千花ちゃんが潰れちゃう。 「千花ちゃん、早く帰ろう? おんぶはいいから肩貸して」 「出来るのに~!」 本当にどこから来るんだその自信は。 僕は身長が高い方ではないけれど、千花と比べればやはり身長の差は大きくて肩を貸して貰うにもアンバランスで、千花ちゃんへの負担が大きそうだ。 僕が眠れていないばっかりに.......。千花ちゃんには迷惑ばかりかけてる気がする。

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