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第31話

あれからもう一眠りしてしまい、次に起きたのは夕方だった。 2日ぶんの睡眠を取り返すかのように寝て過ごしてしまった。 さすがにお腹が空いたため、リビングに行くと机の上にメモと作り置きされたサンドイッチが置いてあった。 『今日は早く帰るようにします。お腹空いたらこれ食べてね』 綺麗な文字で書かれたメモ用紙を手に取って、ふふっと微笑む。 朔夜さんは本当に優しい。優しすぎて怖いぐらいだ。 たくさん迷惑かけてるのにこんなに良くしてくれるのは何故なんだろう。 サンドイッチを手に取りモグモグと食べていると、玄関がバタンと開く音がした。 「朔夜さん、おかえりなさい。あと、迷惑かけてごめんなさい」 「ただいま。謝らなくていいよ」 スタスタとネクタイを外しながら歩いてくる朔夜さんの元へ駆けつけ、お礼と謝罪をする。 いつもなら、「もう知らない出ていけ」って言われるのに朔夜さんはそんな事言わなくて、優しく頭を撫でてくれた。 僕のこと嫌いにならないのかな.......。 「律、今日からまた一緒に寝ようか」 「え!.......でも、布団買ってもらったし、それに慣れたら一人で寝れると思うし.......」 「俺が一緒に寝たいの。ダメ?」 朔夜さんに悪いと思って一人で寝る意思を表明したが「だめ?」と首を傾げて聞かれるものだから、ブンブンと首を振った。 僕だって一緒に寝たい! でも、こんな状況だし無理に「一緒に寝たい」なんて言わせてしまったかもしれない。本当に迷惑じゃないのかな。無理してないかな.......。 「朔夜さん、無理しなくていいよ?本当は一人で寝たいんじゃない?」 「俺は律と一緒に寝たいって言ったんだけど。寒いし律を抱いて寝ると暖かいんだ」 「あ、そっか。じゃあ僕がんばって湯たんぽするね!」 なるほど、確かによく体温が高いねって言われる。寒い季節には好きな人の湯たんぽになれるんだ!湯たんぽを理由に一緒に寝れるなんて、なんて幸せなんだろう。 ソファに座り、朔夜さんにぴったりとくっ付く。やっぱり一緒にいると落ち着くな。 「何か寝れない理由でもあった?」 「え、んーと.......。なんか、寂しかったから、かな?」 「なんで俺に言わないの?」 「だ、だって.......迷惑かなって。布団もわざわざ買ってもらったのに.......」 俯いて答えると、頭上からはぁーっとため息が聞こえてきた。 呆れられた。もう嫌いになられた.......。

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