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第32話

「迷惑な訳ないだろ。寧ろもっと頼って欲しい。もっと甘えていいんだよ」 「え.......?」 嫌われたと思ったのに優しい声で、優しい手つきでヨシヨシと頭を撫でられる。 朔夜さんは本当に優しい。 もっともっと、好きになってしまう。実らない恋だとは思うけれど、すごくすごく好きなんだ。 「ありがと.......。朔夜さん、だいすき」 「ふふ、俺も好きだよ」 お互いの「好き」の意味は違うけれど、朔夜さんに好きと言われるとどんな意味ですら嬉しくなってしまう。 朔夜さんの肩に頭を預け、よしよしと撫でてもらう。最高に幸せな瞬間だ。 いいのかな、こんなにも幸せで。そう言えば、朔夜さんに彼女は居るのだろうか。 聞いた事もないし、朔夜さんから話すこともないし.......。居ないのかもしれないけれど、僕に気を使って言ってないだけなのかもしれない。 「ねぇ、朔夜さんは彼女とかいないの?」 「いる訳ないだろ。好きな人いるのに」 「え!?好きな人いるの!?」 「居るけど」 「そ、そう.......なんだ.......」 だ、だよね.......。やっぱり好きな人くらいは居るよね.......。 僕みたいな男なんか相手にされる訳ない。可愛い女の子の方がいいよね.......。 「律ってものすごーく鈍感だよね」 「なっ、バカにしてる!?」 「いや、そんな所も可愛いなって」 絶対可愛いなんて思ってないだろ!鈍感な所も可愛いと思うなんてどこか可笑しいんじゃないの!思いっきりバカにしてるじゃん! 「そう言うのは好きな人に言ってあげればいいんじゃない!?僕なんかじゃなくてさ!」 「ふふ、本当に面白いな。可愛い」 「だからー!」 「怒ってる律も可愛い」 「もー!」 なんで僕にばっか可愛い可愛いって言うの! 僕の事からかってるんだ!もう知らないふりするから!

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