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第37話

* 昼休みになり、朔夜さんの作ってくれたお弁当を食べながら千花ちゃんに聞いてみる。 「ねぇ千花ちゃん。初心者でも簡単に作れるご飯ってなに?」 「律が作るの?」 「そう。今日は同居人が帰ってくるの遅くて、僕が作るんだけど失敗しないやつがいいんだよね」 今日は僕がご飯を作る日。料理はほぼした事ない初心者でも作るれる簡単ご飯を千花ちゃんに教えてもらいたい。 千花ちゃんはしばらく考えて、口を開いた。 「無難だけどカレーとか?野菜切って煮込んでルー入れて完成。簡単じゃない?」 「カレーか、いいね!」 ご飯を食べながらメイク動画を見ている蛍ちゃんもアドバイスしてくれた。 「炊き込みご飯とかも簡単だよ。炊いてる間にお味噌汁作ったり」 「へー、色々あるね.......。どっちにしよう.......」 お弁当に入っている卵焼きを狙っている千花ちゃんから逃げながら考える。 最後の一つを箸で掴むんで口に入れようとしたら、千花ちゃんが僕の手を掴んで自分の口に入れようとしてくる。 おい!僕の卵焼きを取るな!! 「僕の!」 「一口ぐらいいいじゃん!私も食べたい!卵焼き!!」 「こらこら、喧嘩しないの!」 千花ちゃんと卵焼きの奪い合いをしていると、そこに救済が入った。この声は僕の大好きな声。 だけどこんな子どもの喧嘩みたいな所見られたくなかった。 「先生!律が卵焼きくれなーい!」 「千花ちゃん自分のお弁当に卵焼き入ってるじゃん!僕の取らないでよ!」 「だって私のより律の卵焼きの方が美味しいんだもん!あ、交換する!?」 「やだ!」 確かに朔夜さんの作る卵焼きは絶品だ。だけどそれを千花ちゃんに譲る訳にはいかない!交換も嫌だ! 卵焼きを箸で持ったまま上に上げて食べられないようにする。 すると上から「ぱくっ」と誰かに食べられた。見上げると先生が口をもぐもぐさせて卵焼きを食べている。 「先生律と関節キスだー!」 「あ、ほんとだ。ごめんごめん。でも喧嘩してるから間をとって俺が食べてやろうと思って」 ふふ、と笑う先生。僕は「関節キス」というワードが恥ずかしくて顔を真っ赤にしていた。 蛍ちゃんに小声で「よかったじゃん。大好きな先生と関節キス」とからかわれて死にたい.......。 「よかったね律!先生と関節キスだよ!もっと喜んだら?」 「ちょっと黙って!?」 それを更悪気もなく更に煽る千花ちゃん。 それ言ったらダメなやつ!僕が先生の事好きだってバレるし! いや、関節キスされて喜んでる変態だと思われる可能性も!? どっちにしろ最悪だよ!

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