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第42話
「りーつ、さっきのなに?あんな可愛いことしてどういうつもり?」
「き、キスしたかっただけ! 朔夜さんだって、僕にキスしにくるじゃん!その逆をしただけ!」
お風呂を出たらすぐ寝室に行って不貞寝しようと思っていたのに、廊下で捕まってしまった。
心做しか朔夜さんは嬉しそうだ。良かった、嫌じゃなかったんだ。
リビングに連れて行かれ、ソファに座らされる。何をするのかと思えば髪を乾かしてくれるらしい。なんでだろう、まぁいいか。
ドライヤーで髪を乾かすのが面倒な僕は、ほぼ自然乾燥が多い。だから次の日の寝癖がすごいのかもしれない。
髪を乾かす手つきが気持ちよくてうとうとしてしまう。朔夜さん、テクニシャンか.......!?めちゃくちゃ気持ちいいしすごく眠くなってきた。
「おーい、寝るなよ。律、起きて。.......起きないとキスするぞ」
「うぇ.......!?」
「ふふ、起きるのか」
意地悪そうに笑う朔夜さんを見上げると、チュ、と唇を奪われた。
結局キスするんじゃん!
僕の心臓破裂しそう。このドキドキが朔夜さんにバレないか心配だ。たぶん朔夜さん的にキスは挨拶のようなものだと思っているのだと思う。そうでないと僕にキスなんてしてこない。
外国では家族ともキスするんだよね?たぶんそれなのかな。
「あ、ドラマの時間だ」
「ドラマ?」
やべ、と時間を確認した朔夜さんがリモコンを取ってテレビをつける。
毎週見てたドラマなんてあったんだ。どんなの見てるのか気になるな。
画面に映し出されたのは、この前から何回か見ていたドロドロの恋愛ドラマだった。
「この前見てから展開が気になっちゃって、毎週見てるんだよね」
「ふ、ふーん.......」
正直、僕はこのドラマが苦手だ。恋愛ドラマは好きだけど、ドロドロの三角関係はあまり好きじゃない。不倫とか浮気を題材にしているんだと思うけど、僕は悲しい気持ちになるから苦手だ。
それにこのドラマ、えっちなシーンが多いのだ。この前も言ったように裸でプロレスしてたり、舌と舌をくっつけるキスをしたり、そのシーンの尺が異常に長い。
朔夜さんは僕とこんなえっちなシーン見てて気まづくならないのかな.......。大人だからその辺はあまり気にしていないのかもしれない。僕はまだ子どもだから、ちょっと気になるというか.......。
「この人とこの人が不倫しててね、この人の奥さんが浮気相手の女の人を殺そうとするシーンで終わってたんだ。続きすごく気にならない?」
「わぁ.......すごい物語だね」
恋愛ドラマというか、サスペンスも混ざってるのかな。朔夜さんはこういう系のドラマが好きなのだろうか。
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