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第58話

*** 週明け、学校に行くと変な噂が広まっていた。 誰が流したのか、根拠の無い噂話。 だけどその噂は僕の心臓を一突きした。心臓が止まってしまうんじゃないかと思うくらい衝撃的な.......。 「ねぇ!律聞いた!?『有馬先生が白石先生と付き合ってる』っていう噂!!」 ショックすぎて机に突っ伏している僕の上に乗って、今まさにそれが理由で落ち込んでいる話題を振られる。 聞きたくない。聞かなかったことにしたい。 「千花、空気読みなよ。律あからさまに落ち込んでるし」 「んー、でも根拠ないし。私たちが先生に確認してきてあげようか?」 空気の読める蛍ちゃんが千花ちゃんを止め、しかし千花ちゃんは先生に本当に付き合っているか確認してこうかなんてバカなのか! それでもし「そうだよ」なんて返事が返ってきてみろ。僕は、僕は、どうすればいいんだ! 千花ちゃんのその問いに全力で頭を振った。そんな恐ろしいこと出来ない。気になるのは気になるけど、正直知りたくない。 予鈴が鳴り、ホームルームが始まる。先生が教室に入ってきた途端、女子生徒が大騒ぎし始めた。みんなして聞くのは『本当に白石先生と付き合っているのかどうか』についてだ。 先生は困ったように笑って、淡々とその質問に答えた。 「付き合ってないよ」 その返答に騒いでいた女子生徒及び僕もふぅーっと胸を撫で下ろした。 白石先生は美人で男子生徒から人気がある。だけど、僕は少し苦手だ。なんと言うか.......色気で男を落とそうとしている所とか.......。あと女子生徒には少し当たりがキツいように思う。お気に入りの生徒とそうでない生徒の扱いの差が激しい。美人だが、決して性格は良くはない。そんな人に有馬先生を取られてしまったと思うと悔しくて仕方がない。 でも付き合ってないみたいで良かった。本当に誰が流した噂なんだろう.......。

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