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第62話
図書室に着き、教材を元あった所へ直すのだがどこにあったのかさっぱり分からない。
図書館司書さんに手伝って貰いながらなんとか全ての教材を戻す事ができた。
「次いでに悪いんだけど、少し用事でここを空けるから時間があれば残って貰いたいんだけど.......」
「良いですよ」
手伝ってもらったお礼だ。急いで帰る用事もないし、そもそも帰りづらいし.......。なので図書館司書さんが戻ってくるまで残る事にした。
千花ちゃんも電車の時間までまだあるから一緒に残ってくれるらしい。
30分くらいで戻るらしいので、それまで図書室の中を探索した。あまり来た事がなかったけれど、色々な本が置いてあるし結構広いんだなぁ。
「見て見て!懐かしいこれ!ミッケだ!」
「本当だ!たまにやりたくなるよね!」
千花ちゃんが手に持って来たのは、小さい子向けの絵本の「ミッケ」だった。絵本と言っても物語ではなく、指定された物を見つけるという絵本。小学生の頃、一人でずっとやってたなぁ、懐かしい。
ページを開いてしまうとやらざるを得ない。
2人で夢中になって探していた。
大人も楽しめるように作られているため、結構細かいところまで見ないと見つけられない。小さい頃見つけられなかった物が今では見つけられるのが、なんだか嬉しかった。
あれから30分は経ったが、図書館司書さんが戻ってくる気配はない。下校時間のアナウンスが流れ、生徒は速やかに下校しなければならない。
開けっ放しで帰ることは出来ないので、職員室に行ってみようと思い図書室のドアに手をかけるが.......。
「あれ、閉まってる!?」
「え、なんで?」
誰かが中を確認せずに閉めたのか?
僕たちも絵本に夢中で全く気づかなかった。
中から鍵を開けることは出来ないようになっている為、何も出来ない状態だ。
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