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第67話
ご飯を食べて、お風呂を済ませて今はベッドの上にいる。
今日のご飯はビビンバだった。あまり丼物を作らないけれど、今日は帰るのが遅くなったからと簡単にできるビビンバになったのだ。ビビンバはあまり食べたことがなかったけれど美味しかった。と言うか朔夜さんの作るご飯は全部美味しい。
どんなご飯でも朔夜さんが作るものならなんでも美味しいと食べるよ僕は。
「あ、朔夜さんのスマホここにあるじゃん」
ご飯を食べる前に「スマホどっか行った」と言っていたけれど、たぶんスーツを脱いだ時にここに置いたのを忘れてたんだな。ふふ、抜けてる所も好きだ。
朔夜さんのスマホをベッドサイドに移動させようとすると、ブブッと震えた。
メッセージで『今から会えませんか?』と可愛らしい絵文字付きで送られてきているではないか!
送り主は.......白石先生だ!!
普段からメッセージアプリでやり取りするほど親しい仲なのだろうか.......。夜中に抜け出して会いたいと思えるほどの仲だったなんて.......。
「あ、スマホあった。律が見つけてくれたの?」
「.......それよりもお呼び出しされてますよ」
「うわ、ほんとだ。迷惑だよね、こんな夜中に出て行くわけないし」
無視が一番、と無視していた。
ほんとにそれでいいの?本当は会いたいんじゃないの?僕が寝てからこっそり会いに行ってたりしたらショックすぎて死ぬぞ。
「.......行くなら行けば。僕一人でも平気だし」
嫉妬心から可愛くない事を言ってしまった。朔夜さんを困らせてしまうと分かっていても、止められなかった。本当に子どもだ。
背中に朔夜さんの視線を感じながらも目を瞑り知らないフリをした。
「あ、白石先生ですか?いえ、会いません。こういうの迷惑なのでやめて下さい。これだけ伝えたかっただけです。それでは」
僕の後ろで直接白石先生に電話をかけ始める朔夜さんに、驚いて電話してる姿をまじまじ見つめてしまった。
電話してるフリ.......ではなさそうだ。電話越しに女性の声が聞こえてきた。かなり怒ってそうな感じだったけれど.......。
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