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第71話
あぁ、イライラする。
完璧なはずなのに、何故彼は振り向いてくれないの。
全部全部、春海 律の仕業に違いないわ。
少し離れた所で私の王子様とイチャイチャしている春海を睨む。男のクセに可愛らしい顔をしていて、女友達が圧倒的に多い。オカマなのかしら?
あんな糞ガキより、私の方が美人なのに。顔だって私の方が勝ってるし、体型もきちんと管理している。
男性はみんな柔らかいものが好き。みんな私の胸を触りたがる。有馬先生なら、私を好きにしてもいいのに.......。
一人っ子で欲しいものは全て手に入れてきた。我慢なんて知らない。気に入らない物はみんな捨てる。
有馬先生は私のもの。誰にも渡さない。
しかし、有馬先生は靡かない。ボディタッチを増やし、腕を組んだ時に胸を押し当てる。だいたい男はこれでイチコロなのに、有馬先生は見向きもしないし冷ややかな目で「やめて下さい」と言うだけ。
イライラしたから春海に教材を図書室に運ぶよう命令した。図書館司書のジジイから図書室の戸締りを頼まれ、中から春海の楽しそうな声が聞こえてイライラしたから閉めてやった。どうやって帰ったのかは知らないけど、すっきりした。
この私が誘っているのに、有馬先生はいつも無
視する。今だって「会えませんか?」と送ったのに無視.......と思いきや、電話がかかってきたではないか!
なに、そんなに私とお話したかったの?仕方がないわね。
しかしその内容は、もう迷惑だから誘うなという信じられない内容だった。レディに恥をかかせるなんて許せない。
むしゃくしゃして、ついお酒を飲みすぎてしまった。酔っ払って春海の単語テストの名前を消してしまったが、私には関係ない。
次の日は二日酔いで頭痛が酷かったが、有馬先生の顔を見たらマシになった気がする。
昨日はあぁ言われたけど、あの時間帯のお誘いはダメってことよね?なら、仕事終わりやお休みの日ならいいのかしら。
お酒の匂いを消すために少し多めに香水を使ったけれど、いい匂いだから大丈夫よね。
これから本気で有馬先生を落とす。その為には邪魔な存在がいる。
春海に邪魔されないように、必要最低限は有馬先生に関わらないでと話すと了承してくれた。意外と話のわかる子で助かったわ。
さて、邪魔者はいなくなった。私のものにする。
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