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第76話

* 次の日から、有馬先生との関わりは格段に減った。 関わりは元々多かった訳じゃないし、普段通りの日常だ。 一限目はホームルームに引き続き有馬先生の授業だ。先生は現国の担当で、眠くなりがちな現国の授業だがほぼ全員が起きて真面目に授業を受けている。 男子は寝ている子もチラホラいるけど、僕のクラスの大半は女子なので殆どの子が起きている。 理由はみな揃って「有馬先生の顔が見たいから」だそうだ。 普段顔が見れなくても、授業ならいくらでも顔を見てもいいのだ。いつも現国の授業終わりは有馬先生がかっこいいという話題で持ち切りな程だ。 しかし、僕は先生の顔を見れない。顔を見ると昨日の事を思い出してしまうので大変危険なのだ。 このみんなにかっこいいと騒がれている有馬先生が、昨日は僕の.......僕の、それを口に.......! 思い出してしまって顔に熱が集まる。 ダメダメ!思い出しちゃダメ!授業に集中しないと! 「ここまでで分からないところある?」 「はい!先生が何故そんなにイケメンなのか分かりません!」 「親の遺伝子です。授業の質問で他にある?」 先生はいつも終わる際に質問はあるかと聞く。その度に授業と関係ない質問が飛び出すが、毎回一回だけ答えてくれる。 授業が終わり、いつもの如く先生の周りには女子生徒が群がっている。 別に気になってなんかないし.......!家に帰ったら僕が独り占めできるもん! 「でね、この色絶対律に合うと思うんだよね。買おうかな?」 「おー!私たちは絶対浮くね、この色!」 「僕にじゃなくて、自分の為にお金使いなよ蛍ちゃん」 アイシャドウ?の画像を見せられる。パッケージは可愛らしいと思うけど僕はあまり興味はないかな。 僕はブルベ?ていう肌の色らしくて、蛍ちゃんと千花ちゃんはイエベ?だから、普段できないメイクを僕の顔で実験台にしようとする。 蛍ちゃんは色んな肌でメイクして勉強したいらしく、暇さえあればメイク動画やネットサーフィンをしている。 「あれ?律、首が赤くなってるよ。キスマ?」 「キスマって?」 「キスマークのこと。まぁ簡単に言うと内出血みたいなもん」 「蛍、もっと色気のある言い方しなよ」 昨日朔夜さんに痛くされたトコかな? キスマーク?内出血?よく分からない。 蛍ちゃんが絆創膏をくれたので貼っておくことにした。 でも家に帰った朔夜さんに、不満そうにせっかく貼った絆創膏を剥がされた。 なんか不機嫌だったけど、理由は分からなかった。

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