77 / 143

第77話

ここ2日間は特に問題なく学校生活が送れている。 白石先生に目をつけられることも無くなり、有馬先生とは学校では話さないものの、家に帰ると学校で話さなかった分たくさんお話しするし、たくさん抱きしめてくれる。 今日を乗り越えれば明日はいよいよ朔夜さんと約束したお出かけの日。 今週はやけに長く感じる1週間だった。 「ねぇ!聞いた!?有馬先生結婚するんだって!!」 「どこ情報なの、それ」 「知らないけど、隣のクラスの友達に聞いた!!」 結婚、するの.......?本当に? 家ではそんな素振り一つも見せなかった。僕に気を使っていたのかな.......。 結婚するなら早く言ってくれればいいのに。 千花ちゃんから聞いた不確かな情報だが、白石先生の件で不安になっている僕は信じてしまうしかなかった。 明日のお出かけで朔夜さんと過ごすのが最後になるかもしれない。いつ結婚するのかは分からないけれど、早いうちから彼女さんと住むよね.......。という事は、僕は邪魔なだけだし、出ていくしかない。 大丈夫、1人は慣れてる。ずっと1人だったもん。誰かが隣にいることが当たり前になりつつあった。危ない危ない。 「本当ならショックすぎる!律も泣きたいなら私の胸を貸してあげるからね!」 「遠慮しとくよ」 泣く時は一人で泣くし.......。 友達の前で泣くなんて無理。逆に涙出ないよ。 四限目は英語で、白石先生の授業だ。 またキツそうなシャツに短めのタイトスカートを履いてのご登場だ。 この時間は有馬先生の授業と逆で、男子は起きていて、女子は寝ている率が高い。 「白石先生、結婚するんですか?」 一人の女子生徒が白石先生に質問した。 その質問に対し、白石先生はクスリと笑って指輪をしている手で口元を抑えた。 「ふふ、実はそうなの」 シルバーのシンプルな指輪だったが、薬指に付いていた。 白石先生が結婚.......有馬先生も結婚.......。という事は、この2人が結婚する事は間違いない訳で。 教室中がザワザワと騒がしくなる。みんな色々な噂話をしている。 耳を塞ぎたい言葉ばかり飛び交う。僕はもう潰れそうで、とにかく早くこの時間が終わって欲しかった。

ともだちにシェアしよう!