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第83話

部屋の隅っこに自動販売機みたいな物が置いてある。 今のホテルって自動販売機が部屋にあるんだ! カップラーメンとか飲み物とか売ってるのだと思い見てみると、箱に入った丸いピンク色の線がついたよく分からないものとか、「Lサイズ!BIG!!」とか書いた棒みたいなものが売っている。 なにこれ?食べ物じゃないんだ。 「朔夜さん、これなに?」 「げっ!そんなの見ちゃいけません!まだ俺らには早いから!」 「そうなの?何する道具なの?」 「また教えてあげるから、とりあえずお風呂入ってきな!」 教えてくれないまま洗面所に押し込まれてしまった。結局あれは何だったんだろう。僕達にはまだ早いって何の早さなんだろう。 分からないことだらけだ。 大きめの浴槽で、のびのびとお風呂に入れた。ビジネスホテルのお風呂は小さかったのに、らぶほのお風呂は大きい。 違いは何なのか。値段かな? というか、同じホテルなのに呼び方が違うのが不思議だ。 「わぁ、ご飯がある.......」 「夜ご飯まだでしょ。ルームサービスだけど」 お風呂から出ると机の上にオムライスが置いてあった。夜ご飯がまだだから、僕がお風呂に入っている間に頼んでくれていたらしい。 優しすぎだ、スパダリだ。 おいで、と手を引かれ髪を乾かして貰う。最近はずっと朔夜さんが髪を乾かしてくれている。放っておいたら乾かさずに自然乾燥させる僕を見兼ねてかもしれないが。 お陰で毎朝の寝癖がマシになった。 「はい、乾いた。ご飯食べてな。俺お風呂行ってくるね」 「うん、ありがとう!」 僕の髪を乾かし終えて、朔夜さんがお風呂に行った。 椅子に座りオムライスを一口食べた。おぉ、結構美味しい!たまごフワフワで、チキンライスの味もしっかりしていて美味しい。 ふとリモコンが目に見えて、テレビを付けてみる。あまり面白い番組はやっていなくてすぐに消した。 そういえばあのドラマ、今週見逃したよなぁ。そんな事を思いながらオムライスを食べた。 律がお風呂に入っている間に、ルームサービスを頼む。きっとお腹が空いているはず。 あとやらないと行けないことは.......。 ピッとテレビを付けると、やはりラブホならではのAVが流れている。 こんなの律に見せられない。切り替えで地上に戻し、バラエティ番組にチャンネルを合わせてテレビを切る。これでいつ付けても安心だ。 いかがわしい玩具の自販機を恨めしげに睨む。 .......お前は予想範囲外だったよ。律に変なの見られてしまった。 まだ手を出すつもりはないし、大事にしたいからそういう雰囲気にならないようにしているというのに.......。 あまり可愛い事をされると、襲ってしまうかもしれない。律が可愛いすぎて辛い.......。

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