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第85話
朔夜さんに宿題を見てもらい、いつもより早く終わることができた。
本当に感謝の気持ちしかない。
「朔夜さん、本当にありがとう!すごく分かりやすかった!」
「どういたしまして。じゃあ、お礼貰っていい?」
「お礼?」
教えて貰ったお礼として、僕も何かしてあげたいが何も持っていない。
何をしたら喜んで貰えるんだろう。
ソファに座る朔夜さんが、おいでと自分の膝の上を叩く。
僕重いのに.......と思いながらも体重をあまりかけないように膝の上に乗った。
「体硬すぎ。もっとリラックスしなよ」
「む、ムリだよそんなの!」
だって本当に改めて見ると朔夜さんカッコよすぎて、こんな顔面直視できるわけないじゃん!
しかも今、僕は大好きな朔夜さんの膝の上に乗っているわけだ。今更だが膝の上とか、朔夜さんの上に乗ること自体ヤバイと気付き始めた。
やっぱり降りようとすると、腰をがっしり腕で固定され逃げられない。
「なに逃げようとしてるの?」
「いや、だって.......重いかなーって.......」
「軽いよ。羽かと思った」
真顔で「羽かと思った」なんて言うものだから、可笑しくて笑ってしまった。
すると、チュッと唇を塞がれた。
朔夜さんとのキスは気持ちいい。心が満たされて、幸せになる。
触れるだけのキスから、だんだん深いものへ変わっていく。チュク、チュクと水音が脳内で響き、それだけで変な気持ちになってくる。
これは何という感情なのか分からない。
「だめだ、これ以上は止まれなくなりそう」
「んんっ、もっとしたかったのにぃ」
つい本音を口にしてしまった為、朔夜さんが天を仰いで「我慢我慢我慢」と念仏のように唱えている。
さすがに恋人同士になってもこういう我儘は困らせるよね.......。
その後はお買い物に行って、無事ノートをゲットして帰ってきた。今日は文具屋さん開いてて良かった。
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