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第91話
赤城くんと合流し、途中から千花ちゃんと蛍ちゃんも来て、四人で登校する。
この人数なら安心だ。万が一に備え、連れて行かれないように歩道側を歩くように言われた。
学校に着き、靴箱を開けると一通の手紙が入っていた。
開けると「放課後、体育倉庫」とだけ書かれている。誰かと間違えたんじゃないか?
「絶対行かない方がいいぞ。無視しろ無視!」
「そうそう!それ貸して!捨てとくから!」
「シュレッダーにかけた方がいいよ。証拠隠滅のため」
みんな口々に言う。
もし僕が一人なら絶対行ってたなぁ。ずっと僕が来るのを待ってる人がいるって思うと気になって仕方がないもん。
手に持っている手紙を後ろからヒョイと取り上げられ、びっくりして振り返ると、有馬先生が立っていた。
「これは俺が預かります」
「どうするんスか?」
赤城くんの問いに対し、先生がニヤリと笑う。何か企んでいるのだろうか。
「俺が代わりに行く」
作戦はこうだ。
僕が行くと見せかけて、実は中にいるのは有馬先生で犯人をおびき寄せる。と言った感じだった。
成功するのかも、本当に手紙の送り主は来るのかすら分からないが、やってみるしかない。
でも.......
「先生が危険な目にあったらどうしよう.......」
これだけが気がかりだった。僕の代わりに行って、そこで危険な目にあってしまったら一生後悔するだろう。
気持ちは嬉しいが、大好きな朔夜さんがいなくなるのはもっと嫌だから。
「大丈夫、俺こういうの慣れてるから。じゃあ、放課後教室でね」
手紙を持って去っていく先生の後ろ姿を見送る。
赤城くんも千花ちゃんも蛍ちゃんも、「先生絶対元ヤンじゃん」と言っていた。
元ヤン、ヤンキーだったってことだよね?今はそんな感じはないけれど.......。
みんな、先生は喧嘩慣れしてるって言っていた。
喧嘩慣れかは分からないが、先生は喧嘩が強そうだなってふと思った。
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