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第96話
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次の日、学校に行くと僕の上靴がなかった。僕に嫌がらせしている人が隠したのかもしれない。
新しいの買おう、と来客用のスリッパを貸してもらった。
教室に行くと前みたいな事になってなかったものの、机の中に手紙が入っていて、その手紙に書かれている言葉に目を見開いた。
固まったままの僕の手から手紙を抜き取り、内容を見た赤城くんが「うわっ」と小さな声を上げた。
「気持ちわりぃ.......。気にすんなよ、春海。みんなお前の味方だし」
「うん.......、ちょっとびっくりしただけ.......」
気にしないようにするも、その気持ち悪い内容が頭から離れない。
手紙にはびっしりと『殺してやる』『死ね』の文字が並んでいた。
もういい加減やめて欲しい。誰がやっているのかは分からないが.......。精神的に辛い。
「これ、シュレッダーにかけてくるね!」
「その後燃やして塵にしよう」
手紙を見た千花ちゃんと蛍ちゃんがやり過ぎなことを言う。相変わらず過激派だな.......。
「とりあえず、先生に相談してみようぜ。お前らシュレッダーにかけるなよ。燃やすのもダメだからな」
しっかりした赤城くんから注意された2人は残念そうだった。
赤城くんは本当にしっかりしていて、頼れるお兄さんみたいだ。同い歳だけど僕とは大違い。僕もしっかりしないと。
ホームルームに来た先生に先程の手紙を預かってもらった。
手紙の内容を見た先生もドン引きのようで「うわぁ.......」と小さな声を上げていた。
一体誰がこんな事をするのだろう.......。殺したいほど僕の事が嫌いなのかな.......。
僕自身、誰かに恨まれる事をしたのかと言われれば、全く身に覚えがない。
自分が気づいてないだけで、知らない所で誰かを傷つけてしまったのかもしれない。
本当に殺されてしまうんじゃないかという恐怖がある。とても怖い。殺されたらどうしよう.......。
「大丈夫、守るから」
不安で押し潰されそうになっていると、ポンと頭に触れる大きな手。僕の大好きな手だ。
コソッと、僕にしか聞こえない小さな声でそう言われる。
やっぱり先生はすごい.......。あんなに不安で怖かったのが、あっという間に無くなった。
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