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第97話

つ、疲れた.......。地獄の時間だった。 チャイムが鳴るのを聞いて、大きくため息をついた。 四限の英語の授業がやっと終わった。最近機嫌は普通だった白石先生が、また僕に対して当たりが強くなった気がする。 今日も習ってない問題を連続で当てられ、その度に「勉強が足りてない」だの「授業を舐めてる」だの言われ、精神的にも肉体的にも疲れた。 「春海くん、ちょっと」 「え、はい.......」 やっと解放されたと思ったのに、白石先生に呼ばれて前に行く。相変わらず香水がキツくて鼻が痛い。 「放課後、空き教室に来なさい。もちろん一人でね」 「.......はい」 耳元でそう囁かれ、まだ地獄の時間は終わっていないと知る。 また何か言われるのだろうか。白石先生の前では有馬先生と喋ったり触れ合ったりはしてないんだけどな.......。 白石先生は本当に先生の事が好きなのだろう。それ故に独占欲や嫉妬心が顕になっているのだと思う。 「ごめん、今日は一緒に帰れないと思う.......」 「なんで?全然待つけど」 「んー、時間かかるかもだし.......」 先に赤城くんに謝ると、待ってくれると言う。だけど一人で来いって言われたし、そう言うってことは誰にも聞かれたくないことを話すんだと思う。 もしかしたら時間がかかるかもしれないし、赤城くんに待ってもらうのは申し訳ない。 「そっか、なら仕方ないな」 「うん、ごめんね」 「いいよ、気にすんなって」 赤城くんは優しい。こんなに優しいのに、彼女ができないと悩んでいた。なんで出来ないのか不思議だ。 「千花ちゃんもごめんね、一緒に帰れなくて」 「大丈夫だよ!でも律一人だし心配だね」 「たぶん大丈夫だよ」 大丈夫と言ったものの、放課後が近づくにつれ気分はどんどん沈んでいく。 放課後が来なくていいと思ったのは初めてだ。いつもなら早く放課後になって欲しいと思うのに、今日ばかりは思えない。 はぁ.......と小さくため息をついた。

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