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第98話
来て欲しくなかった放課後になり、ストレスからか胃がキリキリと痛む。
重い足取りで空き教室に行き、鍵が掛かっていたので白石先生を待つ事にした。
「りーつ」
「あ、先生.......。ここで名前呼んじゃまずいよ」
「誰も居なかったからつい」
暗い気持ちで俯いていると、不意に大好きな声で名前を呼ばれ顔を上げると、有馬先生が立っていた。
学校で名前を呼ばれるのは変な感じだ。
「あ、寝癖」
「え、今更!?恥ずかしい!」
「嘘」
「わぁっ、ボサボサになるからやめてよ!」
今更寝癖指摘されてももう遅いよ!と思ったら嘘だと言って、髪をわしゃわしゃと撫でられる。
ボサボサになるじゃん!
「春海くん、お待たせ。あら、有馬先生も一緒だったんですね」
コツコツとヒールを鳴らして白石先生がこちらへ向かってきた。有馬先生と僕が一緒に居るのが気に食わないのか、少し機嫌は悪そうだ。
だけど有馬先生の顔を見るなり態度は豹変。ここまで態度が違うと流石に怖い。
「そういえば、さっき吉野先生が探してましたよ」
「あぁ、ありがとうございます。帰り、遅くなると心配なので早めに帰してあげてください。じゃあね、春海くん」
「あ、うん、ありがとう先生」
じゃあね、と頭をポンと撫でて去って行った。
白石先生の前で頭ポンポンはまずいんじゃないか?絶対怒ってるよ。顔見れないもん。
「この前言ったこと、もう忘れたのかしら。関わらないでって言ったわよね」
「気を付けてはいました。担任なんで多少は話しましたけど.......」
教室に入るなりカーテンを閉めて、早口にイライラした口調で問い詰められる。
僕の答えに、あからさまに機嫌が悪そうな顔をしている。 でもどう考えでも無理だろう。関わるなとか無理な話しなのだ。
「じゃあさっきイチャイチャしてたのは何?頭ポンポンされて喜んでんじゃないわよ!男のくせに気持ち悪い!」
「あれは.......」
「言い訳なんて聞きたくない!あんたが色目使ったせいでしょ!ちょっと顔がいいからって調子に乗って!!」
ここまで来るともう僕の話は聞いてくれないだろう。言いたいだけ言わせておこう、そう思っていると一枚の写真を見せられて、ドキン、と心臓が大きく脈打った。
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