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第99話
「私見たのよ、あんたと有馬先生が手繋いで歩いてるところ!!」
「あ.......」
「これ、ばら撒いたらどうなるか.......分かるわよね」
その写真は恐らく、僕が公園で泣いてた時に迎えに来た朔夜さんと手を繋いで駐車場まで行ってる時の写真だ。
あの時見られていたんだ.......。
ばら撒かれたら、朔夜さんは先生を辞めないといけなくなるかもしれない。
僕のせいで朔夜さんに迷惑かけたくない。
「私の誘いは断るのに、あんたとはプライベートでも仲良いなんて許せない。手まで繋いで気持ち悪い!どうせあんたから誘ったんでしょ!?有馬先生は私と結ばれるのよ!邪魔しないで!!」
「.......ごめんなさい.......」
「はぁ!?」
もうどうすればいいのか分からなかった。
謝ればいいのかと思って謝ったが、逆効果だった。
「この写真をばら撒かれたくなかったら、私の言うことを聞きなさい」
「.......はい」
写真をばら撒かれるのは絶対ダメだ。それを阻止できるのなら僕が出来る範囲でならやる。
だけど、白石先生の口から出た言葉に絶句する。
「学校辞めなさい」
は.......?学校を辞める.......?
なんで僕が学校辞めないといけないのか。
仮にも教師の口から学校を辞めろなんて言われるとは思ってなかった。
返事をしない僕に更に腹を立てる。
「学校辞めろって言ってんの!」
「.......や、です.......」
「聞こえない!!」
「嫌です!」
こればかりは了承できないと、ハッキリと嫌だと言った。
ギリッとはを噛み締めて、近づいてくる。
僕の胸ぐらを掴んで、叫ぶ。
「邪魔だから消えろ!私の邪魔するな!あんたなんか要らないのよ!死ねばいいのに!」
一方的な暴言を吐かれ、うるうると涙が出てきた。今日の手紙の送り主は白石先生で間違いないだろう。
僕は死んだ方がいい存在らしい。僕は邪魔らしい。
そんなの知ってる。ずっと前から。僕を必要としてくれる人は居なかった。
だけど今は違う。
朔夜さんは、朔夜さんだけは.......。
ガラッと教室のドアが開いた。
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