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第100話
「白石先生の本音が聞けて、俺は嬉しいですよ。改めて思いました。あなたの事を好きになることは絶対に有り得ない」
そこに立っていたのは有馬先生と、その後ろから顔を出す千花ちゃんと赤城くん。
2人とも帰るって言ってたのに.......。
さっきまでの有馬先生に聞かれてたんだと思うとどうしてか泣きたくなってくる。
「ぬ、盗み聞きなんて悪趣味だわ!見損ないました!」
「その写真だって白石先生の盗撮じゃないですか。それと、日々の春海くんへの嫌がらせ、マッチングアプリに人の情報を使って登録。まだまだありますよ。全部言いましょうか?」
全てバレていると知り、白石先生の顔がどんどん青ざめていく。
「しょっ、証拠がないじゃない!私がしたってでっちあげても無駄よ!」
「証拠ならたくさん。さっきの暴言、録音させてもらいました。あとは監視カメラに朝一教室に入っていく姿も映ってますし、マッチングアプリの情報も全部あります。それでも疑うなら警察行きましょう」
録音アプリを使って千花ちゃんが録音してくれていたらしい。ニヒヒ、と笑ってピースサインをしている。
白石先生は青ざめた顔でフラフラと歩き出したかと思えば、走って逃げてしまった。
しかしすぐに追いかけた赤城くんに捕まり、騒ぎを聞きつけた他の教師たちによって事なきを得た。
警察に行った方がいいと言われたが、これ以上問題にしたくなくて断った。ただ、もうしないで欲しい。僕に限らず、他の人にも絶対に。
それだけ誓ってくれれば僕はもういい。
最終的な判断は学校側がするが、確実にクビだろうと言われた。教員免許も剥奪されるかもしれないらしい。
まだ怖くて動けない僕を千花ちゃんと赤城くんが抱きしめる。
「律、頑張ったね!」
「すごいぞ春海!」
本当に良かった!と僕よりも喜んでる2人を見ると、自然と笑顔になる。
僕が笑っている姿を見た2人は安心したように優しく笑い返してくれた。
「2人とも、ありがとう」
お礼を言うとより一層強く抱きしめられて、苦しいけど嬉しかった。
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