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第111話

久我さんが来た理由はこの前の条件の事でだった。 夏コミに間に合わないから早く描かないとやばい、と言っていた。たぶんコミケの話なのだろう。 色んな体制のものを撮りたいからと、寝室に移動した。 「まぁ、まずは正常位からかな」 「ごめんよ律.......」 僕をベッドに寝かせ、足を開かれる。その間に朔夜さん入ってきて、パシャリと写真を撮られる。 あれ.......?この体制、昨日の夜も.......? もしかして、資料の写真ってあの漫画みたいなやつのこと.......!? 「そっからキスする感じで朔夜屈んで」 「ん」 「キスするならしててもいいけど」 「せんわバカたれ」 グッと朔夜さんが屈んで、キスするくらいの距離に顔が来て、かっこよすぎて逃げ出したいくらいだった。 肌綺麗だし睫毛長いし、瞳が綺麗!筋の通った綺麗な鼻、形のいい唇。全てが完璧だ。 今更だけど、この人を彼氏にしてる僕って一体.......。僕なんてミジンコみたいな存在なのに.......。 「次は座位お願い」 「.......わかったよ。 律、起きて。俺の上に乗って」 「わぁ.......!抱っこ?」 「んー、まぁ抱っこみたいなもの」 次は起き上がって、朔夜さんの太ももの上に対面して乗った。抱っこされてるみたいだ。 朔夜さんの背中に手を回し、ギュッとすると「いいねー!」と久我さんがパシャパシャとシャッターを切る。 次からも色んな体制で写真を撮られ、満足したみたいで終了となった。 久我さんが本当に嬉しそうな顔で写真を見返している。 「漫画描けたら送るから!絶対いいの描けると思う!ありがとう!」 「送ってこなくていい。じゃあな」 「朔夜にじゃなくて律くんにだよ」 「尚更ダメ。早よ帰れ、ドアに指詰めるぞ」 ばいばーい!と手を振ってくれていたが、「ばいばーい」の「ば」の時点で朔夜さんにドアを閉められていた。 仲良しだなぁ。ちょっと羨ましい。

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