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第109話

「律くーん!」 学校から帰る途中、誰かに名前を呼ばれて振り返ると、爽やかな笑顔で歩いてくる久我さんの姿が。 夕方からって言ってたけど、ちょっと早めだ。 「あれ、今日は髪型違うんだ。前髪上げてるのも可愛いね」 「あ、ありがとうございます。 ちょっと早めですけど、上がりますか?朔夜さんはまだしばらく帰ってこないと思うんですけど.......」 今は16時だ。朔夜さんは早くても19時にならないと帰ってこない。時間があり過ぎるが、上がってもらった方がいいのだろうか.......。 色々考えていると、久我さんに腕を掴まれ引っ張って行かれる。 どこに行くんだ!? 「その前に、律くんと寄りたい所があるんだ!着いてきて!」 「え、わ、分かりました.......!」 僕と寄りたい所ってどこだろう。友達の朔夜さんとは行けない所なのだろうか。 「んー、タピオカ美味い!初めて食べたけど、結構美味しいんだね」 「ドリンクも種類ありますし、タピオカにも味がついてるやつや、今はカラフルな色がついたタピオカが人気なんですよ!」 連れてこられたのはタピオカ屋さんだった。注文の仕方が分からないというので、僕が久我さんの分も注文した。 タピオカを前にテンションが上がっている久我さんは子どものようだ。映えスポットで僕がタピオカを持ってる写真を撮って、朔夜さんに送るらしい。怒りそうだけどな.......。 漫画の資料でタピオカ屋さんの店内を見たかったらしいのだが、一人では来にくいから僕を連れてきたらしい。 「あとロールアイスのお店も行きたいんだよね」 「なら近くに美味しいお店ありますよ!行ってみましょう!」 「ほんと! やっぱり律くん連れてきて良かった、さすが流行りに敏感な校生だ」 流行りに敏感というか、周りが女友達だからそういう情報はいち早く入ってくるだけだ。 僕も別に嫌いな訳では無いから全然いいんだけど。 その後はロールアイスのお店に行き、近くにあったチーズハットグの屋台にも寄り、夕ご飯前なのにお腹いっぱいになってしまった。

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