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第117話

*** それは千花ちゃんの一言から始まった。 「律の家行ってみたいな~」 「僕の家.......?」 僕の家は、有馬先生の家でもある。僕と先生が一緒に暮らしている事は秘密だ。付き合っている事はもっと秘密だ。 きっと朔夜さんはダメって言うんだろうな~、と思いきや。 「いいよ」 「いいの!?」 帰ってから朔夜さんにその話をすると、まさかのOKを貰ってしまった。絶対ダメって言うと思ったからちょっとびっくり。 本当に良いのだろうか.......。 「俺がいない間に来てもらいなよ」 「あ、なるほど.......!ありがとう、朔夜さん!千花ちゃん喜ぶよ!」 確かに朔夜さんが学校から帰るまでの時間なら、来てもらっても全然大丈夫だ。 なんだか僕が緊張してしまう。バレないかヒヤヒヤする.......。 次の日、千花ちゃんに伝えると予想通り喜んでいた。ちょうど一緒に課題をしようという話だったので、僕の家でする事になった。 学校が終わり、いつもなら駅に曲がる道で千花ちゃんと別れるが、今日は一緒だ。 マンションまで歩き、エレベーターに乗り部屋に行く。 千花ちゃんはこれだけで既にワクワクしていた。一軒家だからマンションに憧れているらしい。 「ここだよ。どうぞ」 「お邪魔します! おー、めっちゃ綺麗!」 玄関に入り、おぉ!と声を上げている。 そりゃあ綺麗だ。朔夜さんが掃除してるもん。休みの日は毎日のように掃除機をかけて、拭き掃除までしている。 リビングに案内して、ソファに座っててもらう。 昨日千花ちゃんと一緒に食べてって言われたクッキーと飲み物を入れて持っていく。 「わぁ!ありがとう!」 「一緒に食べてねって昨日出してくれたの!」 「そうなの!?お構いなく!」 このクッキーが好きなのだ。たぶんそれを知って朔夜さんは買ってくれたのだろう。 スパダリにも程がある。最近知ったのだが、スパダリはスーパーダーリンの略らしい。 お菓子を摘みつつ、課題を広げる。やる気が出ないのは僕だけではないようだ。 千花ちゃんはペン回しをして遊んでいる。しかもめっちゃ上手い。

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