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第118話

「ねぇ、同居してる人ってどんな人なの?」 唐突にそんな質問をされる。ワクワクとした顔でこちらを見ている.......。 どんな人って言われても.......、なんて言えば良いんだろうか。 「優しい人.......?」 「可愛い?かっこいい?」 「かっこいい。けどたまに可愛い」 つい真面目に答えてしまって、ハッとした時には遅くて、千花ちゃんがニヤニヤしている。 質問攻めに合うぞ、これは.......。 「その人のこと、好きなの?」 「.......好き、だよ」 「きゃー!好きだって!!有馬先生がいながらこいつー!!」 千花ちゃんは興奮してバンバンと背中を叩いてくる。とても痛い。 同一人物だから好きに決まってるじゃん!嘘でも嫌いなんて言えないもん。 それからも色々質問され、恋愛について語ったり、相談したり、恋バナを楽しんだ。 そしてふと我に返った。 「恋バナなんてしてる暇なくない?」 「それな。課題手付けたっけ?」 「全く。見て、一問目すら解けてない」 恋バナに夢中になりすぎて、課題のことをすっかり忘れていた。時刻は18時になろうとしている。 二人でやれば早く終わるはず! 一問目の問題を読む。うーん、分からない! 分からないから一緒にやろうと言う話になったのだ。千花ちゃんは分かるかもしれないと思い、手元を見るが全く動く気配のない手。 まさか千花ちゃんも.......? 「千花ちゃん、この問題わかる?」 「全く理解できないよ.......。だって分からないから一緒にやろうって言ったんじゃん!」 確かに言った。でも、二人とも分からなかったら一緒にやる意味ないよ!新手のコントかよ! 仕方ないから明日、蛍ちゃんか赤城くんにお願いして写させて貰おう.......。期限は明日までだから時間がない。 「そろそろ帰るね!お邪魔しました!」 「送っていくよ」 「私を送った後、律は一人になるんだよ? 誘拐されたらどうするの、私は大丈夫だから家に居て!」 いや、大袈裟だよ!誘拐されないよ!僕男だし!千花ちゃんの方が女の子だし危険じゃん! だけど頑なに拒否され、仕方なく玄関でバイバイすることになった。 千花ちゃんだってか弱い女の子なのに。 まぁ力は強いけど.......。確かに僕より強そうだけど.......。

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