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第120話

「んま!!何これ!食堂のより美味しい!」 「ありがとう」 今日のご飯は親子丼だ。千花ちゃんは本当に美味しそうに食べている。 朔夜さんの作る料理は天才級だ。お店出せるレベルだよ。 ふわふわの卵とジューシーな鶏肉が合わさって口の中が幸せ。味付けも大好き。完全に胃袋を掴まれている。 「あ、律ほっぺた」 「ん?」 隣に座る朔夜さんが、自分のほっぺたを指さしている。朔夜さんのほっぺたがどうしたんだろう、見て欲しいの? 分からなくて首を傾げていると、スっと手が伸びて僕のほっぺたに触れた。 「付いてたよ」 「ほんと?ありがとう」 あ、朔夜さんのほっぺたじゃなくて、僕のほっぺただったのか.......。自分の鈍感さにびっくりしてしまう。 一部始終を見ていた千花は状況を理解し、ニコリと微笑んだ。 「律、おめでとう!恋が実ったんだね!」 「え.......!?なんで知って.......、僕言ってない.......」 「今の見たら分かるよ!」 僕は一言も千花ちゃんに、朔夜さんと付き合っているなんて言ってないのに、何故かバレて祝福してくれた。う、嬉しいんだけど、どこでバレてたの!? 焦る僕と、平気な顔して笑っている朔夜さん。なんで平気そうなの! 「さ、朔夜さんはバレていいの!?」 「ん?まぁ抱きしめてるとこ見られたし、須藤さんはその辺ペラペラ喋る子じゃないし、いいかなぁって」 「安心して!絶対言わないから!」 確かに千花ちゃんは他人に勝手にペラペラ喋る人じゃない事は分かっている。しっかりした子だし、信用している。 でも朔夜さんが良いと言うならいいか.......。僕はバレてもいいけど、朔夜さんは教師という立場上よろしくないのかな、なんて考えていた。 知られたのは千花ちゃんだし、応援してくれてるし、きっと大丈夫だ。 「先生のこと大好きだったもんね!本当に良かった!」 「ちょっ、あんまり言わないで.......!」 「へー、もっと詳しく聞かせて」 「聞かなくていいよ!」 このままだと千花ちゃんに僕の恥ずかしい事を言われそうで止めるのに必死だった。 確かに大好きだったが、それを朔夜さんの前で言われるのは恥ずかしすぎる。聞いてる僕が地獄じゃないか.......。

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