127 / 143

第127話

型に生地を流し入れ、余熱していたオーブンに入れて焼く。 ドキドキするなぁ、上手く焼けるといいけど.......。 「混ぜるだけだし簡単だったでしょ!すぐ作れるし、よく弟に作ってるんだー!」 「うん、すごく簡単だった!これならまた作れそう!」 細かい作業もないし、本当に混ぜて約だけの簡単なお菓子でびっくりだ。これなら一人でも作れそうだし、朔夜さんもきっと喜ぶ! 焼いている間に洗い物を済ませ、終わった頃にピーピーと電子音が鳴る。 どうやら焼けたみたいだ。ミトンを手にはめ、マドレーヌを取り出す。 「すごい!綺麗に焼けてるよ!」 「ほんとだ!焼き加減ばっちりだね!」 形の整ったマドレーヌが出てきて大興奮。上手く焼けて嬉しい! たまに生地が溢れて歪な形になったりもするらしいが、シェル型は大成功だ。 もうひとつマフィン型をオーブンに入れて焼く。これも成功するといいなぁ。 シェル型のマドレーヌを型から出して冷ましておく。焼きたてだからとても熱かった。 「先生は普段お菓子とか食べるの?」 「んー、あまり食べないかも。隣で僕が食べてるの見てる事が多いかな」 「そうなんだ。甘いの苦手なのかな」 僕の為にお菓子は買ってきてくれるが、朔夜さんが食べている姿は殆ど見たことが無い。この前高そうなクッキーを貰ったとかで、ちょっと食べてたけど殆ど僕にくれたし.......。 まさか甘いの苦手なの.......?マドレーヌ食べて貰えなかったらどうしよう.......! 「甘いの苦手だったらどうしよう.......、食べて貰えないかも.......」 「そこは大丈夫だよ。律が作ったんだよ?絶対食べると思うけど」 千花ちゃんは自信たっぷりにそう言うが、そんなの分からないじゃないか。 苦手な物はシメジだと言っていた。だけど甘い物もそこまで好きじゃないのかもしれない。 不安だ.......、と頭を悩ませていると、マフィン型も焼きあがった。 綺麗な山になっているのと、生地が溢れて変な形になっているのがある。マフィン型は焼き加減が難しいんだな.......。

ともだちにシェアしよう!