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第131話

ガチャッと玄関のドアが開く音がして、慌てて玄関までお出迎えに行った。 「わぁ、ただいま律」 「おかえり!朔夜さん!」 久しぶりに朔夜さんを見て、嬉しくてギュッと抱きついた。やっぱりLIMEより、電話より、本人に会える方が何倍も嬉しい。 朔夜さんも抱きしめ返してくれて、しばらく玄関で抱き合っていた。 「お土産買ってきたよ。ご飯も作ってくれてありがとう」 「今日は成功したよ!あとね、千花ちゃんに教えて貰いながらマドレーヌも作ったんだけど.......、食べてくれる.......?」 朔夜さんが甘い物苦手だったらどうしよう.......。マドレーヌ、美味しくできたけど甘い物苦手だったら食べたくないよね.......。 不安で恐る恐る聞くと、朔夜さんはものすごく上機嫌になった。 「食べる。絶対食べる」 「本当?甘いの苦手じゃない?」 「苦手じゃないよ。律の手作りは食べなきゃ損」 よかった。苦手じゃないんだ。朔夜さんもすごく嬉しそうだし、作ってよかった。 朔夜さんがスーツを脱ぎに行ってる間に、カレーを盛り付けてテーブルに置く。 今日のは自信作だ。野菜を切るのに時間はかかったが、結構スムーズに作れたんじゃないかな。 「綺麗に出来てる。美味しそう」 「今回は自信作だよ!」 いただきます、と手を合わせて一口カレーを食べる。美味しい。この前のと味はそれほど変わらないと思うけど。 でも朔夜さんは「律の作るカレーが一番好き」と言ってくれた。褒めるのが上手で困ってしまう。 ぺろりと平らげ、朔夜さんは満足そうだ。「やっと美味しいご飯を食べた気がする」なんて言っていたけど、出張中何を食べていたのか気になる。 「マドレーヌも食べる?」 「食べる」 カレーたくさん食べたし、マドレーヌは食べないかな?と思い聞くと「食べる」と即答された。 キッチンからマドレーヌを持ってきて、テーブルに置く。朔夜さんが、おぉ!と感嘆の声を上げた。 「すごい!綺麗に作れてる!」 「殆ど千花ちゃんのお陰だよ!色々教えて貰いながら作ったんだ」 「へぇ、美味っ!俺これ好きだな」 朔夜さんにたくさん褒められて、僕は満足だ。 今度千花ちゃんにお礼しないと。 嬉しくて、朔夜さんの食べてる姿を見ていると不意に唇を奪われた。 ん、なんでキスされたんだろ.......。 「もう一個食べたいのがあるんだけど」 「まだ食べるの?」 「律を食べてもいい?」 僕を食べる.......?僕は美味しくないぞ。 だけど、朔夜さんのその雄っぽい瞳から「食べる」の意味を理解し、顔を真っ赤にした。 食べるってそっちか.......! 「ど、どうぞ.......?」 僕の返事を聞くと、すぐにお風呂場に連れて行かれ、速攻でお風呂に入った。

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