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第138話

* 後日、久我さんが菓子折りを持って現れた。 朔夜さんにめちゃくちゃ謝っていて、たぶん僕が漫画の件を言ってしまったからだと思う。 なんだか悪い事しちゃったな.......。 「久我さん、ごめんね.......。僕が言っちゃったから.......」 「いいよ、いずれはバレてたと思うし。でもエッチできて良かったね」 朔夜さんがお茶を入れに行ってる間に、久我さんにコソッと謝った。 確かにエッチ出来たのは良かった。セックスについての知識も身に付いたし、大好きな人と繋がれる幸福感は未だに忘れない。 あれは久我さんの漫画があってこそだと思う。だから、あまり久我さんを責めないであげて欲しい。 「夏コミ出来たらまたあげる」 「また怒られるんじゃ.......」 「怒りますけど」 夏コミも気になるが、朔夜さんが許さないだろう。 案の定、お茶を入れて帰ってきた朔夜さんにダメだと言われた。久我さんの前にお茶の入った湯呑みをダンッと置いて、怒っていることが分かる。 「あ、これ美味しいから食べなよ。外国のチョコなんだけど」 「話逸らしたな」 怒られたくないからと、久我さんは話を逸らし持ってきた箱を開けてチョコを取り出す。 外国のチョコレートで高そうな包みに入っている。こんな高級そうなチョコ貰っていいのだろうか。 渡されたチョコを食べると、ほろ苦いがほのかに甘い、カカオの味がしっかりしたチョコレートだった。 僕は市販の甘いチョコレートしか食べた事がなくて、初めて食べる高級な味に感動した。 「あ、確かに美味しい。けど、これ酒入ってない?」 「ちょっと入ってるかも。でも微量だしたぶん大丈夫だよ。律くん食べれる?」 「うん!」 お酒の味なんて全く分からないが、朔夜さんや久我さんが言うならそうなのかも。 そもそもお酒なんて飲んだことないのに、お酒が入っているかなんて分からない。 食べやすいし、すごく美味しい。ついついたくさん食べてしまって、「夕飯食べれなくなるからもうダメ」と朔夜さんに取り上げられた。 もうちょっと食べれたのに.......。

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