138 / 143
第138話
*
後日、久我さんが菓子折りを持って現れた。
朔夜さんにめちゃくちゃ謝っていて、たぶん僕が漫画の件を言ってしまったからだと思う。
なんだか悪い事しちゃったな.......。
「久我さん、ごめんね.......。僕が言っちゃったから.......」
「いいよ、いずれはバレてたと思うし。でもエッチできて良かったね」
朔夜さんがお茶を入れに行ってる間に、久我さんにコソッと謝った。
確かにエッチ出来たのは良かった。セックスについての知識も身に付いたし、大好きな人と繋がれる幸福感は未だに忘れない。
あれは久我さんの漫画があってこそだと思う。だから、あまり久我さんを責めないであげて欲しい。
「夏コミ出来たらまたあげる」
「また怒られるんじゃ.......」
「怒りますけど」
夏コミも気になるが、朔夜さんが許さないだろう。
案の定、お茶を入れて帰ってきた朔夜さんにダメだと言われた。久我さんの前にお茶の入った湯呑みをダンッと置いて、怒っていることが分かる。
「あ、これ美味しいから食べなよ。外国のチョコなんだけど」
「話逸らしたな」
怒られたくないからと、久我さんは話を逸らし持ってきた箱を開けてチョコを取り出す。
外国のチョコレートで高そうな包みに入っている。こんな高級そうなチョコ貰っていいのだろうか。
渡されたチョコを食べると、ほろ苦いがほのかに甘い、カカオの味がしっかりしたチョコレートだった。
僕は市販の甘いチョコレートしか食べた事がなくて、初めて食べる高級な味に感動した。
「あ、確かに美味しい。けど、これ酒入ってない?」
「ちょっと入ってるかも。でも微量だしたぶん大丈夫だよ。律くん食べれる?」
「うん!」
お酒の味なんて全く分からないが、朔夜さんや久我さんが言うならそうなのかも。
そもそもお酒なんて飲んだことないのに、お酒が入っているかなんて分からない。
食べやすいし、すごく美味しい。ついついたくさん食べてしまって、「夕飯食べれなくなるからもうダメ」と朔夜さんに取り上げられた。
もうちょっと食べれたのに.......。
ともだちにシェアしよう!