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第141話
朔夜さんの膝の上でグダグダしていると、ヒョイと持ち上げられ隣に下ろされた。
な、なんで降ろすの.......!?
膝から降ろされたのがショックで、朔夜さんの服の裾を引っ張って立ち上がれないようにする。
そこまで悲しいことではないのに、涙が溢れてくる。
「行かないでよぉ.......」
「お水取りに行くだけだよ?泣かなくても」
「やだ!一緒に行く!」
「すぐそこだけどね」
キッチンはすぐそこだったが、その短い間でも朔夜さんと離れたくなかった。
涙を拭ってくれ、朔夜さんの後ろにピタッとくっ付いてキッチンまで着いていく。
歩きにくいけどそんなの気にしない。
コップにお水を注ぎ、再びソファに戻り僕は定位置へ座った。もちろん朔夜さんの膝の上だ。
「お水どうぞ」
「僕に?」
「そうだよ。酔い覚ましに」
「りんごジュースがいい」
今はお水よりりんごジュースが飲みたい気分だ。お水なんて味が付いてないし美味しくないもん!
僕がそう言うと、朔夜さんは困ったように笑う。
「うちにりんごジュースはないよ。お水で我慢して?」
「じゃあオレンジジュース」
「それもないよ。コーヒーか紅茶か、この前律が買ってきたキムチ味のジュースしかないよ。あれどうするの」
りんごジュースもオレンジジュースもないなんて.......。コーヒーは苦いし、紅茶は今は要らない。
あるのはこの前僕が買ってきたキムチ味のジュースだけ。商品として売っているのだから、何かしらの変化が起きてキムチ味だが美味しいジュースになっているんだと思い、期待を込めて買ってみた。
結果ものすごい不味くて、なんと言うか.......すごくキムチだった。何故これが商品として発売できたのか最大の謎だ。どうも出来なくて、とりあえず冷蔵庫に入れて保存している。
「ほんとどうするのアレ、ずっと冷蔵庫に入ってるよ」
「.......あげる」
「要らないよ。あんな不味いの」
買った当日、あまりの不味さに誰かと共有したくて、朔夜さんにも飲ませた。すごく変な顔をしていたのを覚えているが、やっぱり不味かったみたいだ。
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