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エランテルの皇太子
一週間後、エランテルの皇太子はアリーナに会いに来た
見た限りは好青年と言ってもいいほどの容姿とマナーの持ち主
アリーナも彼なら大丈夫だと感じたのだろう
彼と2人にしてほしいと俺に頼んできた
少し2人だけにしようと使用人を下げさせ
俺も部屋を出た
そして数分すると、王が王女宮に出向いた
「...王様っ...?今日はどんな用事が...?」
「アリーナを心配しに来たことと、ユイに答えを早々に出すように伝えに来たのだ。」
「...わたくしに答えを?...何のですか…?」
「お前はこの前、心もわしの物になってくれればと言った際に考えておくと言った。お前になら正妻という地位もあげてやっても良い。もし承諾するなら、すぐに婚姻に進む。もし拒むのであれば、......無理やりにでもわしの物にする。」
「...わたくしに選択権はないと...?」
「......結果的に言えばそうなる。」
「....わたくしの何がそんなに良いのでしょうか。容姿ですか?...態度ですか?内面ですか?」
「すべてだ。」
....すべて。俺の気持ちを察せない男が、すべてなどと笑わせる。
「....なら、アリーナ様が結婚するまでお待ちください。結婚された後ならば、貴方様の申し出を受けましょう。」
「本当か!?!?ふむ。良いだろう」
「....ええ。それでは失礼します。」
俺はアリーナとエランテルの皇太子がいる部屋に入り、アリーナを呼んだ
「...アリーナ様、どうやら少し困難になってきました。」
「なにか問題が?」
「...王様がわたくしに求婚されました」
「.....は?」
気弱だったアリーナも今ではこんな反応をするようになった
「.....どれだけ、傲慢で、醜いのかしら。お父様....いえ、もはや、デブ以外は勿体無い言葉...。」
君はそんなことを思ってたんだね…
「...アリーナ様...お言葉が乱暴ですよ。」
「...あ、すいません。...それでユイ様はどうお答えしたのですか?」
「...アリーナ様が結婚したあとなら受けると。」
「...そうですね。それ以外は即結婚に追い込まれますしね..。できるだけ伸ばしましょう。最高で1年...、最短で2ヶ月ほどしか伸ばせないけれど。」
「....その時は、逃げるか殺すか致します。」
「....奇遇ですねユイ様。私も殺させようかと思いました」
「...まあ、今はまだ大丈夫でしょう。」
「そうですね。とりあえずエランテルの皇太子との婚約はほぼ確定ですわ」
「.....ではエランテルの皇太子....カルロス様にお伝えください。結婚は3ヶ月後と。」
「わかりました。でも良いのですか?.....3ヶ月では....王の手から逃れられるか…」
「....最悪は自害でもしますよ。大丈夫。貴方様は王になることだけを見ていてください。」
「....わかりました。ですが、なるべくそれは避けたいものです。」
「...大丈夫。...簡単には死にませんよ」
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