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”対等”な 4
「可愛くないついでに、もう一つ言って良い?」
いくらでも、と促す。
「あの……」
キスを仕掛けてくるのは割と素面なのに、たまにこういうところで晴也はもじもじとする。その差がまたどうしようもなく、大事にしたいと思う理由なのだろうか。
「好きだとか愛してるとか言えないって言ってたけどさ、してる時とかに『大丈夫か』って言われたり、終わった後にあったかいタオルで体拭ってくれたり、朝にご飯作ってくれたり…あと、あんまりしてくれないのに、本当にたまーに、努さんからキスしてくれると、ああ、愛されてるのかなぁって……思ったりしてたんだけどさ」
ことがことだけに、晴也は耳まで真っ赤になっていた。僕も同じだろう。顔にだんだん血が上っているのを感じる。
晴也の頬に手を当てると、晴也は手を重ねた。晴也の頬は、熱が出ているみたいに熱い。
「努さんの手、すごく気持ちいい」
「年上をからかうんじゃないぞ」
「年上だけど、フウフだもん。対等だよね。……そうやって、愛されてるって感じるのって、俺の独り相撲だったかなぁ?」
まつ毛が不安げに揺れた。言葉で告げる代わりに、一つ口づけを落とす。僕はやっと理解した。いや、きっとわかっていたのだけれど、ずっと晴也に甘えて、言葉にしなかっただけなのだ。
無自覚なふりをして見て見ぬ振りをしていただけで、本当は最初からわかっていたのだ。
指をからめとった。こうしていると、とてもくすぐったい気持ちになる。しばらく見つめあっていると、晴也から蜜を煮詰めたような甘い匂いがしてきた。まるで罠に絡め取られているような錯覚に陥る。晴也は驚愕に目を見開いていた。続いて、熱に焦がれて瞳が潤む。
「いや…ッ! なんで、こんな、今なの……?」
「安心したんだろう。……晴也、分かりづらい表現の仕方で、本当にすまなかった。無駄に遠回りしたな」
「……セックスしたいから、そうやって言ってるの?」
「そう思いたいならそうでもいい。ほら、こっち向け」
数年越しに言えなかった事を告げる。僕は、お前の唯一の番になりたいんだと。
返事も聞かずに唇に食いつく。発情の熱に蕩かされた唇はすでに柔らかい。深さを変えて何度も啄む。最初の数回は抵抗していた晴也も、5回を過ぎたところで受け入れるように僕を抱き寄せた。
「ん……」
「考えすぎるのが、僕の本当に良くないところだ」
「けど、そうやって考えてくれてるのがわかるから、短い言葉でも、こんなに…嬉しいんだよ」
ソファの上で狭い中、服を脱がすのも大変なのに、熱は収まるわけもなく、増幅されていった。口付けの合間に交わす言葉は自分のものだと思えないほど甘く、これまでの二人の生活で伝えそびれた愛情を、余すところなく伝えるだけだった。
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