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第3話

「これだよ、これ!やっぱり本物の女の子が良い!やっぱり俺は女の子が好きなんだぁ!!」 記念祭当日、岡崎の思惑通り他校の女子達でごった返す教室で、岡崎が叫んでいる。 めっちゃ引かれてるぞ、岡崎。 あいつに彼女が出来るのは当分後の様だな……。 宮本の指導もあってか、内田は接客をスマートにこなしている。 俺は……まぁ、ちょっとやそっとでは、がさつさは隠せないよな。 可哀想なのは遠藤だろう。 女子達に混ざって端に追いやられた男性客に絡まれまくってる。 あいつ、大人しいからなぁ……。 注意をしてみていると、ゲラゲラとバカ笑いをする客にスカートを捲られそうになるのを必死に押さえている。 ……流石に悪質。 遠藤のファンだと言うなら逆効果だろ。 ツカツカと歩き寄るとトレーで遠藤のスカートを掴む手を払う。 「お手を触れません様に……ご主人様」 思いきり見下すと……やっちまった。 前園……あんまり良い噂を聞かない奴だよなぁ……。 「へぇ……こっちのメイドは随分、気が強い……な……」 顔を触られそうになったのを払い落とすとそれが勘に触ったのか、腰巾着が動いた。 「てめぇ!!前園さんに何しやがるっ!!」 「やめろっ!!お前らっ!」 頬に衝撃。 腰巾着に殴られた。 一応小さい頃から空手を習っているので、真っ正面からは受けなかったし、これぐらいで倒れはしないが……ムカつくな。 「生意気な目ぇしやがって!!」 前園の制止を聞かずにもう一度、腕を振り上げてきた。 衝撃を待っていたが……俺の前に立った人物によって、それは遮られた。 「内田………」 俺と奴らの間に入ってきたのは意外にも内田だった。 「大切なメイドに手を出されては困ります。騒ぎになる前にお引き取り願えますか?お客様」 内田の広い背中から覗き見ると、前園達は顔を青ざめさせ慌てて出ていった。 どんな技を使ったんだ? 「大丈夫だった?」 振り返った内田の満面の笑顔に、背後で女子達の黄色い歓声が耳をつんざく。 おぉ、女子達だけでなく。 遠藤の目もハートになって内田にお礼を言っている。 良かったな、内田……もう少し早く動いてくれてれば……俺、殴られ無くて済んだのに。 「助かった、ありがとな」 内田の肩を叩くと、オロオロしている岡崎の頭をトレーでパコンと叩いた。 「お前がしっかりしなくてどうする、バカザキ。俺、こんな顔だし保健室行ってそのまま休むわ」 「……芝崎……わかった」 ざわつく教室内を落ち着けようと音頭をとる岡崎の声を聞きながら教室を後にした。

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