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君の世界の片隅で 第五話

「ソータ、危ないからもっと側へ…」 野営した事は無いけど……こんなにくっついて寝るもん? 布団をもっていない俺に、一緒に寝ようと声を掛けてくれたギーナ。 感謝はしているが、近い。 背中と背中がくっついている。 でも…せっかくの好意に文句も言えない。 何故あれだけアイテムが有って寝袋が無いんだ、山田よ。 そうして寝苦しい夜を過ごした。 一夜が明けて、一様に期待の目を向けて来るので、スキルで何とかなるだろうと朝食を作る。 トーストとか食べたいところだが、パンの作り方なんて知らない。 昨夜リュックからタッパーが大量に出て来たので、イノシシのバケモノの肉のあまりを入れておいた。 生肉常温保存。 傷んでないかな?と不安になったけど大丈夫そう。 このタッパーにも秘密がありそうだ。 朝から焼き肉は重いなぁ……何か無いかな? リュックの中をゴソゴソ探っていたらスープの素があった。 ご丁寧にレシピ付き。 昨日チュートリアルでやったみたいにやってみる。 何となくスープが出来た……けど、具が肉だけというのが寂しい。 「ギーナ達……野菜とか……持ってない……よね」 長い旅をしているのだから新鮮な野菜を持っているなんて期待はしていなかったが、魔導士のヘンリクが 「キノコとこの葉っぱは一応食べられるよ」 とその辺から採って来てくれた。 えのき茸とニラみたいだ……食べれるって言ってたから入れちゃえ。 出来上がって食べてみると、やっぱりえのき茸とニラみたいな味がした。 「ヒョロ茸とカミラ草がこんな味になるなんて!」 ん?普通はこの味じゃないの? 俺がえのき茸とニラみたいだと思いながら作ったからか? チートだからな、何でもありか。 余計な事は言わずに黙って食事を続けた。 食事の後片付けをして、いざ出発。 「ギーナ?皆より足遅いけど……子供じゃないんだし、ちゃんとついて行くよ?」 何故かギーナに手を引かれている。 「この辺りは人を道に迷わせる魔術を使う魔物がいるからな、ちゃんと手を繋いでいないと」 「ふ〜ん、そうなんだ……」 郷に入っては郷に従え。 釈然としないながらも、言う通りにしておこう。 少し小高い見晴らしの良い丘。 お昼ご飯の時間。 また肉。 パンが食べたい。白米が恋しい。 無いものねだりをしながら、肉を齧った。 またギーナに手を引かれて歩く。 夕飯、また肉。 そして就寝。 「ソータ、明け方は冷え込みそうだ…風邪を引いては大変だ」 後ろから抱き込まれた。 腰にあたる、熱く固いモノについて指摘するのは怖いので、気付かぬふりして眠る事にした。 よく眠れなかったけど……。 日を追うごとに段々エスカレートしていくセクハラ。 もう気のせいなんかじゃない……こいつホモだ。 俺を狙っている。 気のせい? いや……絶対気のせいなんかじゃない。 寝てる時、キスされかけたもんな。 寝返りを打って回避出来たが……ギーナが良い奴で助かった。 悪い奴なら俺の貞操はとっくに奪われていたことだろう。 早く街へ……街はまだか………。 寝不足の体に鞭を打って必死に皆について歩いた。

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