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俺の世界の中心に 第三話

機は熟した。 兄貴にも許可は貰った。 今日は運命の日だ……。 帰り支度をする奏汰に声をかける。 「奏汰、俺の家に遊びに来たいなら、来ても良いぞ」 「見たいテレビあるから帰る」 テレビ……テレビに負けた……。 いや……今日は運命の日にすると決めたんだ。 お前には何が何でも、無理矢理にでも来てもらおう。 「お願いします!どうしても見てもらいたい物があるんです!!」 「や……山田!?土下座なんて止めろよ、めっちゃ見られてんじゃん………」 「靴を舐めろと言うなら舐めます!」 「わかった!行くよ!行くから止めろよ!!」 ふっ……来たいなら初めからそう言えば良いんだ。 ツンデレと言うヤツだろう?まだツンしか見てないけどな。 家につくと、さっそく押し入れから例のブツを取り出した。 コツコツ作り上げて来たもの。 畳1枚分ぐらいの平べったい箱……。 どうだと誇らしげに床に置いたそれは、エタアドの世界を再現した、俺の世界。 細部まで細かく心血を注いだ。 後は、新しい世界として大量の力を注ぐだけ。 奏汰はすげぇ……と見入っている。 あ……力が溢れて来た。 やはり奏汰は俺に心酔しているのだな。 俺がお前の事を考えながら作った世界だ、嬉しいだろう。 「良くできてるだろ……俺の理想の世界だ。この中でこの人々は俺の意思とは関係なく、自由な意志を持って生きている……そして………」 机の引き出しから大事な小箱を取り出すと中から1cm程の小さな人形を取り出した。 俺が1番神経を研ぎ澄まし創った物。 「これ、奏汰ね」 奏汰の可愛らしさが良く表現出来ていると我ながら思う。 「奏汰は?職業何が良い?能力は?チートもつけてあげる」 俺と一緒に生きてもらうんだから不老不死は絶対でしょ。 後は何をつけてあげようかな? 「え〜職業?なんだろ……冒険者?かなぁ……能力……って急に言われてもよくわかんねぇ」 「OK。冒険者で能力は……俺の好みで良い?」 付与したい力を想像しながら人形に口付けして、力を注ぎ込む。 ……自分で作った人形とは言え、奏汰だと思うと何だかドキドキした。 「比較的安全な、魔物のレベルが低いところからスタート……ここがいいかな?」 はじまりの街の側、草原の原っぱに奏汰の人形を配置する。 「奏汰……」 奏汰に向き直るとぼんやりとした柔らかい印象の丸っこい瞳が俺を見ている。 ……さあ、行こう。 俺とお前の為の世界……奏汰の事を思って作った世界だ。 世界の素が浮かび上がり発光した。 「ようこそ、俺の世界へ……楽しんでね…奏汰……」 俺と奏汰は天地創造の光に包まれた……

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