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俺の世界の中心に 第五話

開店前の店内。 熊みたいな男は出掛けていって、店内には奏汰が1人なはずだ。 鍵が掛かっていたが、気にせず扉を開ける。 「すみません、まだ開店前で……」 カウンターから顔を覗かせた奏汰の顔。 知らない人間を見るような目。 その瞳が俺を見ている事が堪らなく嬉しいのに、堪らなく苛つく。 「男共に囲まれて随分と楽しそうだったなぁ……奏汰」 「………山田」 やっと、俺だとわかった様で、瞳が見開かれる。 フードを外して奏汰に近付く。 「な……何なんだよ……今さら………」 相変わらず、素っ気ない。 昨日は男達に対して穏やかな笑顔を振り撒いていたのに、俺に対しては、いつもの仏頂面でこちらを睨んでいる。 再会を喜ぶ気も無いらしい。 いい……その方がいい………可愛くされたら、手酷く抱いてやれ無くなる。 固まる奏汰の腕を引く。 「行くぞ、奏汰」 「行くって……待って、店長達に別れを……」 抗う様に体に力を込められ…………怒りが増す。 「は?何?奏汰あいつに惚れてんの?」 「惚れ……?いや、御世話になったし」 あの熊と結婚をしたいのか? 昨夜の映像が頭に甦る。 「何をお世話されたの?昨夜も寄り添って歩いてたもんな……あの後、可愛がってもらったのか?」 口に出したらムカムカしてきた。 否定しない奏汰にも怒りが湧く。 「俺はずっと寂しくお前を待ち続けてたのに……お前は逆ハーレムでお楽しみだったって訳か?」 「山田……痛い…離し…」 奏汰を見つけたとき用に、魔物に襲われても取っておいた力で瞬間移動をする。 場所を移した魔王城の王座の部屋。 「仕切り直しだ……」 背中を押して、床に倒れ込んだ奏汰を見下ろし深呼吸する。 「ふははははっ!!!よくぞここまで辿り着いた人間よ!!しかしそれもここまで……我の下で啼くが良……ふぐっ!!!!」 奏汰に覆い被さると股間を思い切り蹴り上げられた。 「――――くぅうぅうぅ…」 人間の体、超不便。 痛みと吐きそうな気持ち悪さに襲われる。 こんな反撃を食らうなんて思っていなかった。 奏汰が俺に攻撃するなんて思っていなかった。 うずくまる俺の下から抜け出そうとすると足首を逃がすまいと掴む。 …………あ、細いなぁ。 「な……なにすんだよ……奏汰ぁ……」 「それはこっちの台詞だ!!いきなりこんな世界に放り込まれるし!!魔物に襲われるし!!やたら男につきまとわられるし!!こんな手のこんだ嫌がらせする程、俺の…事……嫌いだったのかよ……」 奏汰の目からポロリと涙が溢れた。 な………涙!? 「そ…奏汰!?」 涙目で俺を睨んでくる。 あ………可愛いなぁ……。 押さえていた股間が膨らんできた。 「こんな事しなくても、嫌いなら嫌いだって言ってくれれば良かったのに!!」 いつもの奏汰らしからぬ、大声を上げて叫ぶ。 「嫌いなんて……」 嫌いなら、自分の世界に連れてこようなんて思うわけ無いだろう。 「俺の気持ちがそんなに鬱陶しいなら放っておいてくれれば良かったんだ!!」 「鬱陶しいなんて……って、え?奏汰の気持ち?」 「俺がお前に惚れてんのが気持ち悪かったんだろ!?だからこんなホモだらけの世界に投げ込んでお前の事、諦めさせようとしたんだろ!?」 惚れる………惚れる。 惚れるってあれだろ? 好きって事だろ?愛してるって事だよな? 「離せっ!!離してくれよっ!!」 逃げ出そうとする足を掴む手に、力をいれると、奏汰はパニックを起こして、その変に転がっていた魔王感を演出する為の小物を手当り次第に投げつけてくる。 「まっ…待って………待てって!!!」 一旦落ち着かせようと、暴れる体を組み敷く。 「落ち着け。奏汰……今言った事って……本当?」 俺の下で奏汰が目に涙を溜めて見上げてくる。 俺から顔を逸らした瞬間に高潔な涙が一粒、溢れ落ちた。 「……………好きでごめん」 謝るな! 俺は嬉しい!! 「奏汰〜っ!!!!」 感情の高ぶりと共に奏汰に抱きつきキスをした。 「んんんんっ!!!!???」 愛欲の感情では許されない行為だと、愛し合う者同士にだけ許されるという、キスをする。 体の奥底から込み上げてくる感情のままに、何度も啄む様なキスをした後、角度を変えて深い口付けと共に舌を奏汰の口内に侵入させる。 あったかくって柔らかい………力がどんどん沸き上がってくる。 もっと……もっと体全体で奏汰を感じたい。 「んんっ…はっあぁ……山田……なんで……」 「奏汰……奏汰……すっげぇ嬉しい……やっぱこの世界作って良かったかも……」 キスだけでこれだけ気持ちいいんだ………この先の行為はきっともっと気持ちいい………。 人間が溺れるぐらいだからな。 エタアドのどーじんし、とやらで得た知識をフル回転させた。 確か……相手の股間を擦って、くわえて、俺のをお尻に入れる。 だったよな。 「あぁっ!山田ぁ……くうっ!」 早速、奏汰のモノを握って見ると、いつにない、恥ずかしそうに赤らんだ顔でこちらを睨んでくる。 ゴクリ。 俺の股間もはち切れそう。 これを奏汰に入れる………。 奏汰はどんな顔をするのだろうか? 漫画の様に気持ちいいと言ってくれるだろうか。 「ごめん……いろいろ言いたい事、あるだろうけど……後で全部ちゃんと話すし、謝るから……今はやらせて?………他の奴が俺より先にお前に触れたなんて我慢ならない」 「え……?」 俺の知らない奏汰を知っている奴がいるなんて許せない。 早く奏汰の全てを知りたい。 「捕らえた人間を蹂躙するのは魔王の特権……だよな…………」 俺が笑うと、奏汰からの気持ちが溢れ混んできて力に変わる。

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