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俺の世界の中心に 第七話

「ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!!」 必死で土下座して謝罪する俺を奏汰は虚ろな目で見ている。 可愛く俺の問いに頷いた奏汰に、俺は……俺のモノが暴走した。 本能の様に激しく腰を振って奏汰の中を犯してたっぷり出した。 初めての経験は……夢の様に気持ちよかった。 心はあったかくなるし、体は気持ち良いし、力は漲るし…… 嫌がる奏汰に、ひたすら謝りながら一心不乱に奏汰を求めた。 事が終わり、幸せに包まれていた俺に奏汰が涙と共にポロリと零した。 「初めてだったのに……」 『初めて』……とっくに奏汰はあの熊さんとやりまくってるんだと…… いや……店に居た男達とやりまくってんだと思っていた。 『初めて』……『処女』と言うヤツだ。 『処女』はとても繊細で、傷つきやすく。 いつまでも心に残るから殊更優しく、丁寧に、恐がらせず、無理をせず。 止める勇気も必要な程大切な物だと書いてあった。 もう俺の事、嫌いになってしまっただろうか? チラリと奏汰を盗み見ると…… 「………もういい……もう良いから元の世界に帰してくれよ」 ちょっと呆れた様な……それでも仕方ないな……と、言う様ないつも通りの奏汰…… ほっと安堵する。 「それは、ごめん。無理なんだ」 「な……何でだよ……」 兄貴の世界になんて帰すわけが無いだろう。 「お前の世界の隅っこでひっそり無様に死んでいけってことかよ……」 「違う!違うよ!!この世界は俺がお前と愛を育む為に作ったんだから!!この世界の中心は奏汰だ!!」 奏汰は不老不死で殺しても死なないし。 「は?愛…育む?作った?」 「そうだよ。運命的な出会いを演出しようと思って、お前の好きなゲームの世界を元に用意したんだぞ?お前が冒険者がいいって言うから魔王になって最初の街の近くでずっと待ってたのに全然現れないし!!冒険者なら魔王を倒しに行くもんだろ!?魔王に蹂躙される冒険者のシナリオ台無しだよ!!」 まさか魔王が好きな訳じゃ無いなんて、とんだ裏切りだったけど。 「最初の街にいるだろうと探しに行ったら、俺から逃げる様に三つも先の街にいるし、男達に囲まれて楽しそうに笑ってるし……それを見た時の俺の気持ち奏汰にわかる!?」 「……いや、わかんねぇ」 やはり俺の崇高な気持ちは理解出来ないか……。 もっと噛み砕いて言ってやろう。 「俺が嫁にする筈だったのに!!俺が与えたチートなのに!!嫁チートで男引き寄せてさぁ!!」 結婚したがっていた奏汰には最強の能力を与えてあげたのに、それを俺じゃ無くて他者に使うとは! 思い出したら面白くなくなった。 「……て、いうか……山田、何者?」 「俺?俺は……奏汰がいた世界の神……の弟神だ」 俺が神なのを知っているのかと思ってたが、知らなかったのか。 俺が神と知らずにこれだけの信仰心を注がれるとは……あっと、信仰心じゃ無くて『愛』だったんだよな。 愛かぁ………思わず顔がにやける。 「…………」 俺の言うことを何も信じない奴等と同じ目をしている……。 「その顔は信じてねぇな……前の俺の世界が壊れちまったから兄貴の世界で新しい世界を作る為に力を貯めてたんだよ。信仰心が力に変わるんだけど……俺の言う事を誰も信じねぇから力が集まらなかったんだけど……」 「奏汰の側にいるとすげぇ力が湧いて来てたんだよな……そうなると奏汰が可愛くて仕方なくなるじゃん?絶対新しい世界にも奏汰は連れて行こうと決めてたんだ!!向こうの人達の奏汰に関する記憶は消して来たから大丈夫!」 奏汰が憂いなく暮らせるようにって……兄貴が。 「でも力の源が信仰じゃなくて愛だったなんてな……処女まで捧げてもらったし……」 奏汰の処女………何だか照れるな。 俺だけが奏汰のあんな姿を知っているのか………。 前の世界でも巫女とかいう女が、処女を捧げるとか言ってたっけ。 興味無かったから無視していたけど……こんなに凄い物だったのか。 知ってても、奏汰以外にわざわざ、あんな事をする気は無いけど。 「でも……神様なら元の世界に帰してよ……」 「世界を作った事で力を使い果たした。異世界渡る力ない。もう無理」 わざとらしく手を上げて、お手上げポーズを決める。 本当はさっきの行為で結構貯まったけどね………。 「そんなぁ……」 「力が残ってたとしても帰すわけないでしょ……この世界は奏汰と愛し合う為に作ったんだから……」 体から陥落して、心を貰う予定だったけど……。 初めから愛が育っていたとは……。 「俺のどこが好きだったの?奏汰の気持ち……ちゃんと聞かせて?」 すぐに俯く奏汰の顎を持ち上げて問いただす。 奏汰が俺の好きな部分を伸ばして行くから………。 「初めは、格好いいのに変な奴と思ってただけだったけど……だんだん目が離せなくなって………いつの間にか……変な発言も、変な行動も……俺にだけ見せる様になって……山田の中で俺だけ特別みたいで、嬉しかった……から」 「そうだよ……奏汰だけ……奏汰だけが特別……」 ただ、側にいて欲しいと思ったのも、一緒に連れて行きたいと思ったのも奏汰だけ…………あれ? この気持ちって……これは真実の愛って奴では? そうか、俺は奏汰を愛しているのか。 なら俺達はもう相思相愛ってやつだね。 まだどこかぼんやりしている奏汰。 結婚してください……奏汰。 顎をそのまま持ち上げ、その小さな唇に……… 愛の証として、キスをした。

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