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2話/むく

最近、なんだか視線を感じる。振り向いても誰もいないんだけど、なんでか見られてるって気がするの…。 思い過ごしかな? そうだよね。平凡でチビな僕を見つめる物好きなんているわけないよねっ。 じいしきかじょーってヤツだね…恥ずかしいや。 僕は、河合椋。高校二年生になったばかり。背はちっちゃいし(…でも春の身体検査では0.3cm伸びてたもんっ!それでも150cmに届かないけど…くすん)成績もあんまり良い方じゃない。 運動は大好きだけど、力がないから柔道とかでは簡単に潰されちゃう…。すばしっこい方だからサッカーとかは大丈夫だけど、時々ボールと一緒に飛ばされちゃうのが悲しいなあ…。 こんな僕だけど、将来はパティシエになるって言う夢があって毎日調理部で腕を磨いてるんだっ。 甘いものは大好き!甘いもの食べると幸せになる。だから、そんな幸せを作り出せる職人さんになりたいの。 今日の部活はガトーショコラを作るって部長が言ってたっけ。 う~、楽しみっ。 放課後の部活に思いを馳せていたら、肩を叩かれて飛び上がった。 「ぴゃあっ!」 「ああ、ごめん。驚かせた?」 そう言って謝ってくれるのは、クラス委員長の宍倉くんだった。 僕がケーキの事を考えてボーってしていたのが悪いのに優しいなぁ。 「ううん、ちょっと考え事してたから…、僕こそ大きな声を出しちゃってごめんね」 そう言うと宍倉くんは、ニッコリと優しく笑ってくれた。 クラス委員長の宍倉大雅くんは二年になって一緒のクラスになったんだけど、びっくりするくらいパーフェクトな人だ。 身長は180cm以上あるし、成績はいつも学年上位だしバスケ部のホープだし、そのうえイケメンだ。 神様が、僕の分を全部宍倉くんにあげちゃったって思うくらい何拍子も揃った校内のスーパースター。 はあ〜、せめて背だけでもいいから僕に分けてくんないかなぁ…。

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