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18話/むく

バイクの音に振り向くと、公園の入り口に黒いおっきなバイクが停まってた。あれ…?バイクから降りて来たのってもしかして宍倉くんっ!? えええーっ!なんでバイクになんて乗ってるの!? 被ってたヘルメットを脱ぐ宍倉くんが、映画のワンシーンみたいで凄いカッコいい。 またぽわんと見惚れていた僕に、宍倉くんが声をかける。 「待たせちゃってごめんね。行こうか」 …え?ええ…っ!?行くってまさかそれで行くの……? 「はい、これ河合のヘルメット」 ニッコリ笑って、ヘルメットを僕に渡してくれる宍倉くん。 「あ…、あの宍倉くん?このバイクって…」 「ん、ちょっと鷹取から借りて来た。ここのホテル、駅から少し離れてるからこれの方が楽だと思って」 高校生の移動手段なんて、バスか電車か自転車しかないと思ってる僕には、意外過ぎる代物を持って来た宍倉くんにびっくり。 それに真面目なクラス委員長のイメージとは、結びつかないワイルドな宍倉くんの姿にもびっくり。 「宍倉くんってそんなおっきなバイクに乗れるんだねえ」 「ん〜、結構こうゆうの好きでね。ちゃんと免許取って一年経ってるし、二人乗り出来るから安心してね」 「ふわ〜、じゃあ16才でこんなおっきなバイクの免許取ったんだあ。凄いね宍倉くんっ」 またまたミスターパーフェクトの凄い所を発見だねっ!宍倉くんって出来ない事なんてないんじゃないかって思うくらい、ホントに凄いや。 ……ん?でも宍倉くん、いま二人乗りしても安心って言った? ま、さ、か…。……僕が後ろに乗る…の?

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