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20話/むく
バイクに乗るのが怖いなんて言っちゃったから、馬鹿にされちゃうかもって思ったのに、やっぱり宍倉くんは紳士だなあ。それどころかいっぱい褒められちゃった!
ようっし、僕も男の子だもん!怖いけど頑張るっ!
ぐっ、と手を握り締め貸して貰ったヘルメットを被る。
「準備出来た?じゃあ後ろに乗って、俺にしっかり掴まってね」
宍倉くんもヘルメットを被り直して僕にそう声を掛けてくれる。長い足をぱっと翻してバイクに跨る宍倉くんカッコいい〜。
ようっし!僕も颯爽と乗っちゃうもんねっ。
よいしょっと!…よいしょ…っと…、よい…しょ…。
…あ、あれ…?…足が、届か…ない…よう…。
宍倉くんみたいに、ぱっと跨がれないよ〜〜っっ!
「ああ、初めてだと乗り方分かり難いよね。ちょっと待ってて」
シートに届かずにいる僕に苛立つ様子も見せず、そんな風に言ってくれる優しい宍倉くん。
…でも、僕がちっこいせいでシートに届かないんだってわかってるよね…。
だって…。
「はい、これでいいよ〜」
宍倉くんは僕の両脇に手を入れ、猫を抱くみたいにぷら〜んと抱えてシートに座らせてくれたんだ…。
宍倉くんにとっての僕ってチワワの次はにゃんこなのかなぁ。早く人間になりたいよ…、くすん。
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