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26話/むく
体育の時の宍倉くんの雄姿を思い出したら、きっとバスケットをしてる所も格好良いんだろうな〜って想像しちゃって…、僕も観たいなんてつい口に出しちゃった。
僕ったら、何言ってんの!?って恥ずかしくなっていたら、宍倉くんは応援に来てって言ってくれた。
あれ?あれあれ…?なんだか僕、スゴく嬉しい…っ。宍倉くんが僕に来て欲しいって…、あれ…?なんか頬っぺが熱いよ。だから頬っぺの熱さを誤魔化すみたいに、思わず言っちゃった。
「ほんとうっ!?じゃあ僕差し入れ作って行くねっ、宍倉くんは何が好き?」
「好き嫌いは無いけど、卵焼きは甘くないのがいいな」
「しっ、宍倉くんは甘い物苦手なの?」
「ううん。そんな事ないけど、卵焼きはだし巻きの方が好きなんだ」
「そうなんだ〜、宍倉くんは舌も大人っぽいんだね。僕も早くそうなりたいな」
そうなんだ。僕は味覚がまだまだお子様だから、料理人を目指す上では克服しなきちゃならない課題なんだよね。
「焦らなくても、誰だって年は取るんだから徐々にそうなっていくよ。それよりそろそろデザートにしない?ホラ、焼きたてのサバランが出て来たよ」
そう言われてデザートコーナーの方を振り向いたら、綺麗にデコレーションされたプチサバランが運ばれて来るところだった。
「ふわああ〜っ」
スッゴく美味しそう〜っ!焼きたての香ばしい匂いが鼻を擽る。
席を立って僕がケーキを選ぶ間に、宍倉くんは飲み物を取りに行ってくれた。
やっぱり宍倉くんはジェントルマンだあ。
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