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27話/たいが

ムク犬を狙うライバル達に、遅れを取っている事を知った俺は、ムク犬の興味のある事を調べたりもした。だからケーキの種類なんかも、ある程度頭に入ってたりする。 甘い物はそれほど好きではないが、ケーキの話題ならムク犬が食い付き易いと思ったからだ。そのうちケーキバイキングにでも誘ってみるかと思ってたのが、ラッキーな偶然のおかげでこんな幸せそうな顔を間近で見る事が出来た。差し入れ付きの応援と言う約束までしたし、今日は大収穫だったな。 飲み物を持って席に戻ると、色とりどりのケーキを載せたプレートを前に、おあずけ状態のムク犬が待っていた。 俺が戻って来るまで、手を付けずに待ってるとかマジで可愛いな。 「お待たせ、アールグレイで良かった?」 「うんっ!宍倉くんはサバランで良かったの?」 「うん、美味しそうな匂いだったからね。誘われちゃった」 「ねっ、スゴくいい匂いだよね。僕もサバラン取って来ちゃった」 ムク犬のプレートには5種類のケーキが載ってる。さっきそれなりに料理も食ったのに、そのちっこい体に入るのか…?女がよく言う別腹が、ムク犬にもあるのだろうか。 「じゃあ、いただきま〜すっ!んん〜っ、美味しい〜っ」 ケーキを口一杯に頬張り、とろけそうな顔をするムク犬を見たら、そんな疑問はすぐどうでも良くなる。 こんな可愛いムク犬を見られるなら、食いたいだけ食えばいいさ。 ―――と、そう思ったのが間違いだった!

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