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28話/むく
たっくさんのケーキの中から厳選したのは、シュークリームとタルトフレーズとオペラケーキと和三盆糖のプリン、それと焼きたてサバラン!
やっぱり一通りのケーキは味わいたいから、あとからスポンジとチーズとムースも取って来ようっと。
まずはシュークリームから…ん〜っ!生地にナッツが散りばめてあってサクサクだあっ。カスタードクリームは甘さが控えめだけどちょっと厚めのシューと合ってて美味しい〜!
ふあ〜、舌がとろけちゃいそう…。幸せ…。あっ、そうだ!こんなに綺麗なケーキ写真に撮らなきゃもったいないよ。お母さんとにこちゃんと部のみんなに見せてあげなきゃっ!携帯を出して宍倉くんに尋ねてみた。
「宍倉くんあのね、写真撮っても大丈夫かなあ?」
「写真?」
「うん、こんなに綺麗なケーキせっかくだからみんなに見せたくて」
「ああ、お店によってはマナー違反だって言われる事もあるけどここは大丈夫だよ」
「ホント?良かったあ」
「調理部の人達に見せたいの?」
「うんっ!それとお母さんとにこちゃんにも」
「…にこちゃん?」
「僕のお姉ちゃん!和って書いてにこって読むんだよ?珍しいでしょ」
「ああ、動物の柔らかい毛とか産毛を和毛(にこげ)って言うね。それから取ったのかな?」
「わあっ!やっぱり宍倉くんって博識なんだねえ」
成績上位常連の実力は、本物なんだなあ〜。
「河合はお姉さんがいるんだ?」
「うん、お兄ちゃんとお姉ちゃんがいるよ。宍倉くんは?」
「姉が3人いるけど、年が離れているから俺は一人っ子みたいな感じだな。河合は末っ子かあ、そのまんまって感じだね」
「ぷう〜っ、それってまたちみっこいからって言いたいんでしょっ!」
「違う違う、なんか可愛いがられるのが似合ってるって意味だよ」
…可愛いがられるのが似合うって…いっ意味分かんないよ?宍倉くん…っ。
「しっ宍倉くんも末っ子なんでしょ?僕と一緒じゃんかあ」
「でも俺、特に姉達に可愛いがられた覚えがないんだよね。河合はお兄さんとお姉さんに、凄く大事にされていそうだ」
確かに、お兄ちゃんにもにこちゃんにも可愛いがって貰ってるけど…。特にお兄ちゃん…、いっくんは過保護なくらい僕にかまってくれるし。
宍倉くんのお家は違うのかなあ。そう言えば誰かが宍倉くんのお家って、凄くお金持ちなんだって話していたのを聞いた事があったっけ。
…あ、だから宍倉くん、こんな高級ホテルでも堂々としていて、場馴れしてる感じがしたんだ。
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