34 / 139
33話/たいが
臨界態勢の愚息を宥めつつ、ふらふらしているムク犬の手を引いてレストランを出た。
なんだか今にも眠っちまいそうだけど、大丈夫なのか…?
と、危惧していたら案の定エレベーターに乗った途端、立ったまま船を漕ぎだした。
はああああ〜〜。
これじゃあバイクに乗せるのは無理だし、やっぱり部屋をとって休ませるしかないな。
おいこらムク犬。起きたら覚悟しとけよ?
フロントで鍵を貰う頃には、ムク犬は完全に夢の中だった。お姫様抱っこして部屋に向かう。日曜のためかスイートしか空きがなかったが、まあ丁度いいか。
部屋に入りムク犬をベッドに寝かせる。まだ時間は3時を回ったところだし、昼寝から覚めたらきっちりムク犬の「お願い」を聞いてやる事にしよう。
ほくそ笑む俺の傍らで、くうくうと寝息を立てるムク犬。そのふわふわとした髪の毛にそっと触れてみる。思っていた通りの柔らかい手触りに何度も梳いていたら、ムク犬が寝返りを打ちながら布団を蹴った。
「夢の中でも元気なヤツだな」
布団を掛け直してやろうとしたら聞こえたムク犬の声。
「暑〜いぃ…」
ああ、酒が入ってるから暑いんだなと考えていたら、ムク犬がむ〜む〜言いながら服を脱ぎはじめた。
「ちょ…っ!」
慌てる俺を尻目に、ポンポンと上も下も脱いでいくムク犬。あっという間にパンツ一丁になっちまった。
お前はーっ!そんなに食われたいのかーっ!!
はあ、やれやれ…。バスローブを着せかけてやって俺も隣に入る。
取り敢えず一眠りして、それからだ。楽しみにしてろよ…?ムク犬。
小さな体を抱き込み、ふわふわの髪の手触りを楽しみながら俺も夢の中に旅立った。
ともだちにシェアしよう!