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40話/むく
突然部屋に現れた男の人が、僕に挨拶をした後に何故か電話を切るように、ゼスチャーで伝えてきた。
え…一体、だれ?
理由もわからないまま通話を終えた僕に、男の人はニッコリと優しく微笑む。
…うっ…うわ〜〜っ!この人も凄いイケメンさんだよ〜っ!?背が高〜っい!宍倉くんよりも高いや。モデルさんみないなバランスのとれた体つきだけど、鍛えられてるのが服の上からでもわかる。
綺麗に整えられたウェーブのかかった艶のある柔らかい栗色の髪の毛、長い睫毛に縁取られた同じ色の瞳が優しく細められて僕を見てる。上品な立ち居振る舞いは、イギリスの紳士って感じ…。
ちょうど宍倉くんを大人にしたみたいな…、あれ?…そう言えばどことなく宍倉くんに似てる…?
「あ、あの…、どなたですか?」
僕の質問に男の人は、おや?って顔をする。
「ああ、お電話中に話し掛けるなど行儀の悪い事をしてしまいましたね。改めてご挨拶させて頂きます、ホテルシークラ総支配人の宍倉士狼と申します」
…総…支配人…さん?もしかして凄く偉い人!?え、どうしてそんな人がここに?…それに、この人いま宍倉って名乗らなかった…?
あれ?今さらだけどこのホテルってシークラホテルって言うんだよね。有名なグループ企業の傘下のホテルだとかって、前にテレビで見た事があった気がするよ。
確か宍倉グループっておっきな会社だったような……。
「…あれ?もしかしたら宍倉くんって、このホテルと何か関係あるの?」
「…ああ、まあ少し…ね?」
あれ?何だか言いにくそう…、聞かれたくない事だったのかな。
「大雅と私は従兄弟同士なんですよ。今日は彼がこちらに来ていると、スタッフから聞いたものですから、久し振りに顔を見たくなって…。それに、ご友人が気分を崩されたと聞いたもので、ご挨拶も兼ねて伺わせて頂きました」
優しく微笑むその男の人…、宍倉総支配人さんの口から衝撃の告白が飛び出した。
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