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51話/むく
駅までの道を宍倉くんと話しながら歩いていく途中、周りの人がこっちをちらちら見てるのには気付てたけど、駅に着いた時の注目のされ方は半端じゃなかった。
当然、周囲の人達の視線を集めているのは隣を歩く宍倉くんで、女子高生なんか指さしてキャーキャー言ってる…。まあ確かにこれだけのイケメンがいたら、騒いじゃうのも無理ないよねえ。
宍倉くんは慣れっこなのか、周囲の視線をまったく気にする事もなく、スマートに改札をくぐって行く。こんなに注目される事なんて滅多にないから、隣にいる僕の方がドキドキしちゃってるよう。
やっぱり宍倉くんは僕なんかとは全然違うんだなあ。ポチである僕ごときが、ミスターパーフェクトの宍倉くんと比べるなんて事自体、恐れ多いコトだけど。
こうして並んで歩いてると、その差を否応なしに感じちゃう…。
ううんっ、ダメダメっ!そんな事は恩を返す上で、なんのカンケーもないんだから、卑屈になったりしないで僕に出来る事を考えるべきだよねっ。
忙しいときは猫の手だって借りたいって言うし、犬の手だってちょっとは役に立つトコ見せなきゃ。そしたらそのうち、ポチから友達にランクアップ出来ちゃうかもだし頑張るぞー!
でも差し当たっては、この満員電車で無事登校すると言うミッションを果たさなくっちゃ…。
はあ〜っ、毎朝の事とは言え凄い人だよう。ちんまい僕はいつも埋もれちゃうから、潰されそうになりなから通学しなくちゃならないんだよね。
電車がホームに入って来て乗客が一斉に乗りこむ。
その人波に流されそうになった僕の肩を抱き寄せて、扉と座席の間に立たせてくれた。
「大丈夫?」
「う、うん。ありがとう」
鮮やかな動きで場所を確保してくれたのは、僕の前で人波から庇うように立ってくれている宍倉くん。
「この時間だとこんなに混むんだね」
「しっ、宍倉くんがいつも乗る電車は混雑してないの?」
向かい合う形で腕を扉につけて、僕が楽に立っていられるようにしてくれている。
「うん、座れはしないけどここまでは混んでないね」
こんなコトが自然に出来るなんて、流石はジェントル宍倉くんっ!きっと僕が女の子だったらメロメロになっちゃうだろうなあ。
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