59 / 139

58話/むく

うふふっ!宍倉くんとトーイくんと一緒に登校だなんて嬉しいなっ。僕を真ん中に、3人で並んでお喋りしながら学校まで歩く。 「今週から体育祭の準備が始まるね〜」 体育祭は再来週の日曜日、一年生から三年生までの同じクラスごとに編成される、チーム対抗戦だ。 「トーイくんとは敵同士だけど僕、負けないように頑張るからねっ」 これでも運動は得意だから、チームに貢献出来るように頑張っちゃうもんねっ。 「それはこっちの台詞さ。んで、ムクはなんの競技に出るつもりなんだ?」 「えっとね、100m走は出たいな〜。それと借り物競争とか面白そうだよね!あっ、騎馬戦も出たいなあっ」 「…多分それは却下されると思うよ」 僕がそう言ったら即座に宍倉くんに否定された。なんでっ!? 僕は軽いしすばしっこいから、絶対に騎馬戦向きだって思うのに〜っ。 「あ〜、そりゃ正解だな。宍倉は何に出るつもりなんだ?」 なんで正解なのっ!? 「そうだね、短距離走は結構自信あるよ」 「へえじゃあチーム対抗リレーに立候補しろよ?俺も出るからさ」 「構わないけど、俺100mのタイム11秒台だよ?」 「ちょうどいいな。俺も11秒台だ、面白いレースになりそうじゃんか」 おおっ!早くも戦いの予感? チーム対抗リレーは得点配分が高いから、各チームの精鋭選手が出場する花形競技。それにバスケ部期待のホープとサッカー部のエースストライカーの二人が出場するなら、盛り上がること間違いなしだっ! うわあっ、なんだか今からワクワクしてきたよう。 「わあっ!楽しみだねっ。僕いっぱい応援するよっ」 二人を交互に見ながらそう言う僕に 「河合は俺を応援しなきゃ、九条は敵チームなんだからね」 「あ、そうか…」 宍倉くんがごもっともなことを言う。でもそれを聞いたトーイくんがしょんぼりしちゃった…。あっ、そうだ!いいこと思い付いたっ。 「それじゃ僕、お弁当作ってくるっ!」 「うおっ!本当かっ?サンキュー!ムク」 楽しみだなあムクの手作り弁当〜♪って喜ぶトーイくん。お弁当くらいで元気が出るなら、僕腕を振るっちゃうよっ。 「河合、俺の差し入れの約束が先じゃない?」 あっ、そうだった! 「…何?約束って」 「俺の試合での活躍を観にくる時に、手料理の差し入れをしてくれる約束だよ。ね?河合」 うん、確かに約束したもんねっ。 「体育祭が終わるまで、試合はないだろ。ムクの手料理を先に食うのは俺だ!」 「じゃあ、リレーで勝った方が、河合の手作り弁当を食べられるって言うのはどう?」 「面白い、受けて立ってやる!」 …あれれ?なにか話が変な方向に行ってない…?

ともだちにシェアしよう!