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58話/むく
うふふっ!宍倉くんとトーイくんと一緒に登校だなんて嬉しいなっ。僕を真ん中に、3人で並んでお喋りしながら学校まで歩く。
「今週から体育祭の準備が始まるね〜」
体育祭は再来週の日曜日、一年生から三年生までの同じクラスごとに編成される、チーム対抗戦だ。
「トーイくんとは敵同士だけど僕、負けないように頑張るからねっ」
これでも運動は得意だから、チームに貢献出来るように頑張っちゃうもんねっ。
「それはこっちの台詞さ。んで、ムクはなんの競技に出るつもりなんだ?」
「えっとね、100m走は出たいな〜。それと借り物競争とか面白そうだよね!あっ、騎馬戦も出たいなあっ」
「…多分それは却下されると思うよ」
僕がそう言ったら即座に宍倉くんに否定された。なんでっ!?
僕は軽いしすばしっこいから、絶対に騎馬戦向きだって思うのに〜っ。
「あ〜、そりゃ正解だな。宍倉は何に出るつもりなんだ?」
なんで正解なのっ!?
「そうだね、短距離走は結構自信あるよ」
「へえじゃあチーム対抗リレーに立候補しろよ?俺も出るからさ」
「構わないけど、俺100mのタイム11秒台だよ?」
「ちょうどいいな。俺も11秒台だ、面白いレースになりそうじゃんか」
おおっ!早くも戦いの予感?
チーム対抗リレーは得点配分が高いから、各チームの精鋭選手が出場する花形競技。それにバスケ部期待のホープとサッカー部のエースストライカーの二人が出場するなら、盛り上がること間違いなしだっ!
うわあっ、なんだか今からワクワクしてきたよう。
「わあっ!楽しみだねっ。僕いっぱい応援するよっ」
二人を交互に見ながらそう言う僕に
「河合は俺を応援しなきゃ、九条は敵チームなんだからね」
「あ、そうか…」
宍倉くんがごもっともなことを言う。でもそれを聞いたトーイくんがしょんぼりしちゃった…。あっ、そうだ!いいこと思い付いたっ。
「それじゃ僕、お弁当作ってくるっ!」
「うおっ!本当かっ?サンキュー!ムク」
楽しみだなあムクの手作り弁当〜♪って喜ぶトーイくん。お弁当くらいで元気が出るなら、僕腕を振るっちゃうよっ。
「河合、俺の差し入れの約束が先じゃない?」
あっ、そうだった!
「…何?約束って」
「俺の試合での活躍を観にくる時に、手料理の差し入れをしてくれる約束だよ。ね?河合」
うん、確かに約束したもんねっ。
「体育祭が終わるまで、試合はないだろ。ムクの手料理を先に食うのは俺だ!」
「じゃあ、リレーで勝った方が、河合の手作り弁当を食べられるって言うのはどう?」
「面白い、受けて立ってやる!」
…あれれ?なにか話が変な方向に行ってない…?
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