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62話/むく
落ち込みから立ち直った僕は、急いで準備に取り掛かった。今日は部長が持って来てくれた、筍を使ったメニュー。
調理部は部長と僕、それに真央くんと一年生のシマくんと三葉くんの5人だけの弱小部なので部費も少ない。
だからみんなが持ち寄った食材でやりくりしながら、料理の勉強をしているんだ。準備がどうにか整った頃、調理室の扉が開いて真央くんたちが入って来た。
「お疲れさまでーっす!」
元気いっぱいに挨拶するのは、一年生の栗田 シマくん
ツンツンに短くした茶色の髪と、くるりとした大きなツリ目がちの瞳が可愛い。だけど、ちょっと短気でおこりん坊さん。
「お…お疲れさま…です」
シマくんの影に隠れるようにして入って来たのは、小鹿三葉 くん。シマくんと同じ一年生だけど、シマくんとは正反対で凄く大人しくて怖がりさん。少し天然パーマがかった綺麗な黒髪と、潤んだタレ目がちな瞳がバンビみたい。
でも、二人とも僕より背が高い…。シマくんはこの間、155cm超えたって喜んでたし、三葉くんはシマくんよりちょこっとだけ高い。
うう…、悔しいなあ…。
「お疲れさまぁ〜」
ゆったりとした挨拶で入って来たのは、小西真央 くん。ふんわりした黒い髪の毛に、ちょっと眠そうな猫目の真央くんは、いつもゆったり穏やかでマイペース。僕と同じ二年生で、去年から一緒に調理部で頑張ってる。
「よおっし、皆揃ったね。じゃあ始めるよ」
そう言って指揮をとるのは、部長の卯月梨兎 先輩。部長はふわっふわの金に近い茶色の髪と、ぱっちりとした二重瞼の大きな瞳に、桜色のプルプルの唇を持つスゴい美少年なんだけど、性格が女王様で怒ると凄く恐い。でも普段は面倒見が良くって、部員みんなの頼れるお兄ちゃんなんだ。
これが僕の大好きな部活の大好きな仲間たち。
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