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64話/むく

出来上がった料理を台に運んで、皆で食べようとしたとき、廊下の窓に映る人影に気が付いた。あれ…?あの長身のシルエットは、もしかして宍倉くん? でもどうして、宍倉くんが調理室に?部活はもう終わったのかなあ。……はっ!もしかしたら体育祭のお仕事とかあって、僕に手伝って欲しいとか…。 うっわあっ!もしかして僕、頼りにされちゃった!?うわーっうわーっ!嬉しいっ! 「ちょっ、ムク犬どうしたのさ?」 いきなり席を立って窓の方に向かう僕に、部長たちが驚いてるけど構わずに走る。 「宍倉くんどうしたの?」 がらっ、と窓を開けると、やっぱり宍倉くんが立っていた。いきなり話し掛けてきた僕に、驚いた様子の宍倉くんはらしくなく言い淀んでる。やっぱりお仕事なんだと、確信する僕。やったあ!早速出番が来たよっ。 「お仕事あるならお手伝いするよ?ちょっと待っててねっ」 お手伝いさせるのを言いだし難いんだと思った僕は、部長に頼んで先に上がらせて貰おうとした。そしたら慌てて、お仕事じゃないって言う宍倉くん。あ…、なんだ。お仕事じゃあないのかぁ、がっかり…。 あれ…、じゃあ一体何の用なんだろう。不思議に思ってる僕の後ろから、部長がにゅっ、と顔を覗かせてきた。 「何の用?…ってか誰さ」 僕が思ってることそのままに、部長が不審気に聞いてきたので、宍倉くんを紹介をする。 「同じクラスの委員長の宍倉くんです。部長」 すると宍倉くんは、いつもの王子様スマイルで、部長にこう言った。 「河合君と一緒に帰る約束をしてたので、迎えに来ました。でも少し早かったみたいですね」 …え!?一緒に帰る約束?あれ?そんなのしてたっけ?僕。 「また終わる頃に来ます。部活の邪魔をして済みませんでした」 クエスチョンマークを浮かべてると、宍倉くんが立ち去ろうとしたので慌てて引き留めようとした、その時。 ぐ〜きゅるるる〜〜 宍倉くんのお腹から大きな音がした。

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